<広島3-7DeNA>◇7日◇マツダスタジアム

 DeNAが、今季初の4連勝で勝率を5割に戻した。天敵の広島前田健太投手(25)から失策絡みで4点を先取する意外な?

 展開。DeNAドラフト3位の新人井納翔一投手(27)が6回途中3失点でプロ初勝利を挙げた。中畑清監督(59)の「奇跡を起こすような気がする」という試合前の“予言”が的中し、5月としては6年ぶりの借金なし。もう、最下位が定位置なんて言わせません。

 DeNAにとっては、奇跡的な勝利といっていいかもしれない。

 試合前、中畑監督は「奇跡を起こすような気がするんだよな」と、先発の井納に期待していた。もちろん投球を指しての言葉だったが、敵失を呼ぶ一打を放ったのだから予言的中だろう。2回。1死満塁から8番鶴岡の二ゴロで併殺を狙った菊池に失策が出て1点先制。さらに9番井納の放った打球も何でもない二ゴロのはずが、再び菊池がファンブルして2者が生還。2つの失策で3点を奪った。

 「マエケンは、そんなにチャンスを提供してくれる投手じゃない。ワンチャンスをものにしてビッグイニングを作るくらいじゃないと」と、中畑監督は言っていた。この3点に加え4回にも菊池に失策が出て、無安打で1点を加えるのだから“大きなイニング”だった。昨年4月6日にはノーヒットノーランを喫し、年間でも1勝6敗、防御率0・58と手玉に取られた投手からの勝利は弾みとなる。

 井納も5回0/3で3失点ながらプロ初勝利を挙げた。広島にミスが出たことによるが、WBC日本代表の主力投手に投げ勝っての1勝に違いはない。「長かったです。実感はまだないです。ふがいないピッチングだったし」と反省しきりの1勝だが、負ければ2軍降格もあったラストチャンスで踏みとどまった。

 試合前の練習が終わりベンチ裏へ引き揚げようとしたとき、中畑監督はのけぞって笑っていた。広島ファンの女性から「お手柔らかにお願いします」と声をかけられたのだ。立ち止まって「そんなこと今まで言われたことないぞ」と、笑顔で声をかけた。6勝16敗2分けとかもにされた昨年とは明らかに違う。「ミスを生かし切った。マエケンから勝ったのは大きい。5割?

 たまたまそういう流れになっているだけ」。広島との対戦成績も5割に戻した。【矢後洋一】

 ▼DeNAが今季初、昨年9月以来の4連勝で勝率を4月21日以来の5割に戻した。DeNAは4月29日に借金5としたが、借金5を返済しての勝率5割到達は、大矢監督時代の07年以来6年ぶり。5月以降の勝率5割も07年10月8日以来。07年は借金が最大7まで膨らんだが、最終的には71勝72敗1分けで4位。08年以降は昨季まで最下位が続いている。