名湯の効能は4連勝と首位浮上!?

 阪神のルーキー藤浪晋太郎投手(19)が12日ヤクルト戦(松山)でプロ入り初めて地方球場での先発に挑む。9日は坊っちゃんスタジアムで調整。藤浪は大の風呂好きだが、松山と言えば道後温泉。チームが連勝、巨人次第では首位取りもかかる3戦目に向け、黄金ルーキーが温泉パワーにあやかる?

 ♪いい湯だな~ハハハン~、いい湯だな~。

 春先から奮闘中の藤浪が絶妙なタイミングで癒やしの地に入った。そろそろ疲れも出てくる頃だ。松山市内のチーム宿舎から車で約10分のところにあるのが道後温泉。日本でも有数の温泉地として名高く、ここを使わない手はない?

 プロ入り初めての地方遠征。風呂好きだけに、松山の話題になると反応する。

 「道後温泉ですよね。あるのは知っています。機会があれば入れればいい。温泉巡りとか、したことはないですけど、あるなら入れればと思いますね」

 普段から、湯けむりをこよなく愛する。力投の疲労回復のため、藤浪が積極的に取り入れているのが長風呂だ。「ゆっくりお風呂に入って、リラックスしていますね」。長い時は約1時間、ゆったりと湯船に身を浸す。体は温まり、血液循環も良くなり、老廃物も取り除く。そんな温浴効果が最も表れるのが温泉だ。開幕ローテーションに入り、フル回転。激戦に耐える体を癒やすためにも、名湯パワーにあやかるつもりだ。

 野球と密接な松山で投げるのも、何かの縁だろう。「野球」の言葉を作ったのはご当地の偉人・正岡子規。この話題にもサラリと「知っていますよ」と言い切る。初めて投げる坊っちゃんスタジアムにも思いをはせた。「夏目漱石でしょう。(小説の)最初のところだけ授業でやったかな。1冊、全部は読んでいないですけどね」と笑う。野球に熱心な土地柄だ。この日も松山空港に到着すると、待ち構えたファンから「フジナミ~」と声が飛んだ。観衆の期待を一身に背負って、快投で応えたい。

 坊っちゃんは親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしたが、藤浪は違う。“鉄砲肩”を生かして、マウンドで得ばかりする虎の優良児だ。いまや、先発陣に欠かせない。4月は3勝をマーク。近年の高卒新人では99年西武松坂の2勝を超える偉業だった。4月14日DeNA戦(甲子園)から3連勝中。交流戦直前の最終登板は、プロで初体験の地方球場だが動じない。

 「マウンドの傾斜は(違うのは)ありますが、見てみないと何とも言えない。気にしないですし、地方球場だから、どうこうはないですね」

 チームにとっても、頂点をうかがう3連戦になる。首位巨人とは2・5ゲーム差。「巨人3連敗、阪神3連勝」なら、藤浪が登板予定の12日にトップ交代だ。首位を呼ぶ使者になれるか。藤浪坊っちゃんが剛腕を振るい、ツバメ軍団を懲らしめる。【酒井俊作】

 ◆阪神高卒新人投手の連勝

 ドラフト導入後最長は67年江夏の6連勝。プロ初勝利を完投で飾った4月29日広島戦から、5月31日巨人戦まで白星を連ねた。ほかに85年に遠山が5連勝、10年に秋山が4連勝を記録している。