<阪神2-9オリックス>◇15日◇甲子園

 阪神が緊急投手補強に乗り出すことが15日、明らかになった。日本生命セ・パ交流戦2戦目となったオリックス戦は先発榎田がKOされ、リリーフ陣も失点を重ねて2連敗。さらに試合前にはセットアッパー福原が腰痛で登録抹消となった。開幕から好調だった投手陣に疲れが見え始めた。今こそ“救世主”の獲得が急務となる。救援投手で速球派右腕に的を絞って猛虎が動きだす。

 黄色に染まったスタンドがざわめいた。先発榎田が3回までに3被弾で5失点。5回に2番手・鶴が2球で危険球退場。スクランブル登板した藤原が失点を重ねる悪夢の展開。交流戦前までの猛虎はどこにいってしまったのか。甲子園は深いため息に包まれた。

 試合前にも不安なニュースが飛び込んできた。「AFK」の一角、福原が腰の張りで出場選手登録抹消された。最短10日で戦列復帰できる見通しだが、防御率リーグトップを誇ってきた投手陣にもさすがに疲れが見え始めたのか…。守護神・久保も12日ヤクルト戦は無失点も、直前まで4試合連続失点するなど盤石ではない。巨人追撃、優勝のための正念場を迎え、球団フロントも動き始めた。

 この日までに新外国人補強をリリーフ投手に一本化した。開幕前から水面下でリストアップを行っていたが、1度は頓挫した。投手陣が好調だったために一部、補強対象を野手に切り替えては、という声もあったためだ。だが、この日のように、これからは開幕から好調だった投手陣に疲労が出る時期。球団幹部は補強方針について「広い本拠地で勝つためにどのポジションに補強が必要かは明らかだ」と話した。

 交流戦まで貯金9を積み上げ、巨人に肉薄できたのも投手陣の踏ん張りがあってこそ。甲子園で10勝4敗1分と大きく勝ち越したことが、ここまでの好調を支えている。補強ポイントは再び投手に絞られた。和田野球の根幹である「守り」を充実させることを最優先し、フロントも全面バックアップする。

 中村GMを先頭に球団編成部門は、開幕前から、救援投手を念頭に置き、球速150キロを超える速球派の右腕に的を絞って新助っ人を探してきた。現在のリリーフ陣を見渡すと、力で勝負できるのは福原くらいしか見当たらない。技巧派の久保、安藤らを生かすためにもパワーピッチャーの獲得を最大の目標としている。これまでリストに挙がった投手については中村GMらがすでに映像をチェック済み。さらに今月に入って、渡米していた渉外担当者も帰国した。ストッパー候補にもなれる新外国人獲得を目指し、これまでのリストと新情報を照らし合わせて、早急に候補を絞り込んでいくことになった。

 現在、コンラッドが2軍落ちしているため、4人の外国人枠は1つ空いている状況。新外国人投手を獲得すれば、すぐに1軍で起用できる。開幕から順調に突っ走ってきた和田阪神を失速させないために、フロントも総力を挙げて動く。