<イースタン・リーグ:日本ハム4-8西武>◇16日◇鎌ケ谷

 二刀流ルーキーの日本ハム大谷翔平投手(18)が、23日のヤクルト戦(札幌ドーム)で、先発として1軍投手デビューすることが決まった。イースタン・リーグ西武戦(鎌ケ谷)に先発、木村に2被弾するなど5回7安打5失点(自責2)だったが、視察した栗山英樹監督(52)は、当初予定していたプランを前倒し、次回登板を1軍マウンドにすることを明言。ウルフが体調不良で抹消中など、苦しい先発投手陣の救世主として期待する。

 ベンチ裏。5回5失点で降板した大谷に、栗山監督が近づいて聞いた。「次、1軍でいくか?」。大谷に断る理由などない。「いきます」。即答だった。次戦も2軍予定だったプランを変更し、23日ヤクルト戦(札幌ドーム)での1軍投手デビューが決定した。

 大谷

 自信を持っていかないといけないので、そう答えました。中途半端な気持ちではよくない。そこ(1軍登板)を目指しているし、うれしかった。ただ、今日のようなピッチングじゃ、まだまだダメです。

 この日の登板には課題が残った。1回、先頭の西武木村に、プロ入り初被弾となる場外アーチを浴びた。1点リードの5回無死一塁にも、再び木村に左中間場外へ運ばれた。どちらも2ストライク目を取りにいったボールが、不用意に真ん中に入った。場外弾は「おそらく初めて」、同打者に1試合2本塁打も「記憶にないです」と振り返った。3回は2者連続三振を含む3者凡退に抑えた一方、力が入ると制球は甘くなった。「3回の投球を継続していければ。要所で抜け気味の球があった。もっと力を抜かなきゃいけないところがありました。課題も見つかりました」。満点投球での“2軍卒業”ではなかった。

 だが栗山監督は、結果以外の部分を評価していた。「あれだけの球を投げられて、カウント球で変化球が使える。課題は上(1軍)にある」。5回5失点も味方に2つの失策があり、自責点は2。プロ入り最多となる104球を投げても、球威に衰えはなかった。1軍打者と対戦していく段階に入ったと判断した。

 チーム事情や、日程的な要素もある。現在チームは9連敗で最下位に低迷中。体調不良でウルフが離脱しており、先発投手陣も手薄な現状で、同監督は「こういう状況。勝つためにみんなで戦う」と、起爆剤としても期待する。また、今日17日からのDeNA戦(横浜)では藤井、続く巨人戦(札幌ドーム)は内海、杉内ら左腕との対戦が濃厚で、左打者の大谷が野手として出場する機会が少なくなる。1軍初登板へ向け、じっくりと先発投手としての調整ができる。

 当日はDH制が採用されるパの本拠地のため、打席に立つことはない。ただ、投手で1軍デビューすることで、二刀流も本格化していく。大谷は「今の(自分の)実力より上の先輩は(2軍にも)いっぱいいる。迷惑をかけるようではダメ」と、言葉に決意を込めた。覚悟を決め、歴史的なマウンドに上がる。【本間翼】

 ◆新人の二刀流

 同じシーズンに投手と野手で出場した最近のケースでは嘉勢敏弘(オリックス)がいるが、出場は3年目の97年、6年目の00年。本格的二刀流だった71年外山義明(ヤクルト)も2年目だった。新人が投手と野手で出場すれば、68年永淵洋三(近鉄)以来45年ぶりとなる。