「最強の24歳」宣言から、1年-。日本ハム斎藤佑樹投手が25歳の誕生日を迎えた6日、赤裸々な胸の内を明かした。昨年11月の右肩関節唇損傷からの復活を目指して過ごしている、2軍の千葉・鎌ケ谷で迎えた記念日。現状を物語る真っ黒に日焼けした顔で、神妙に語り出した。

 斎藤

 昔思っていた25歳の姿とはかけ離れている。もっとカッコいい大人だと思っていた。

 等身大の佑ちゃんの本音は、自分への少しの失望だった。

 激変した。ちょうど1年前の6月6日は、交流戦の広島戦。約1カ月ぶりの白星で5勝目を挙げ、お立ち台に立った。「最強の24歳になります!」。バースデー勝利で高らかに宣言した1年間は、山あり谷ありだった。初の開幕投手を務めて白星、プロ初完封など順風満帆にスタートした。しかし、夏場に2軍落ちし「自分がヘタクソだった。今はプロで生きていくために自分がやらなくては、いけないことが分かってきた感じ」と漏らした。痛烈に自己批判したが、またも現状の自分にムチを入れた。

 自分を見失いそうな日々。それでもこの日、存在価値を見つめ直すことができた。約40人の熱狂的なファンが祝福に訪れてくれた。「昨年はファンの方から直接プレゼントを頂くことはなかったので」と、手渡しされた大量のプレゼントを感慨深げに見つめた。宅配便では高級花・胡蝶蘭の贈り物も届いた。「あれ、高級ですよね」と目を丸くし、復活へのエネルギーをもらった。

 現在は本格投球できるまでに前進している。「ちょっとずつ、自分の気持ちも楽になってくる」と手応えはある。次のステップは打者を立たせてのブルペン投球。「そこから(次段階)はまた長くなるんじゃないか」と先は見えないが、懸命に自分と向き合っている。この日から始まった25歳の1年間。スーパースターはもがき、苦しみ、必死に今を生きている。【田中彩友美】