<日本ハム3-0阪神>◇13日◇札幌ドーム

 91球、2時間27分のぎゅっと詰まった熱戦を、日本ハム木佐貫洋投手(33)が制した。チームの日本人投手、完封一番乗りのおまけ付きで今季5勝目。お立ち台では15日からの広島2連戦の選手プロデュースデーのテーマ「西部劇」にちなみ、緑色のバンダナを巻いて登場。陰りのある渋い表情で「私は私服でも巻いているので、みなさんもまねしてください」と爆笑を誘った。

 阪神キラーぶりを、新天地でも発揮した。「絶対に出さない」と決めていた1回の先頭打者西岡を空振り三振。リズムに乗ると、4回まで3者凡退で切り続けた。5回無死一、三塁のピンチを無失点で切り抜け、スイッチが入った。これで08年の巨人時代から、阪神戦は5連勝。「阪神ファンの方からは『お前、いつも良いな』って言われるんです。関西では気をつけて歩かないと」と少し誇らしげだった。

 大好きなものを封印したかいがあった。5月20日巨人戦以来の白星。先発予定の5月28日広島戦が降雨中止になるハプニングも乗り越え、ようやく勝てた。広島では「やっぱり、先発を控えているので」と趣味の市電乗車や観光も我慢して乗り込み、気勢をそがれた鬱憤(うっぷん)を晴らした。試合中のルーティンであるノートへの書き込みは「似顔絵を描いていました」と冗談交じりに話すほど、ご満悦な移籍後初の完封劇だった。【田中彩友美】

 ▼木佐貫が日本ハム移籍後初完封勝利。完封勝ちは通算5度目。球数と被安打は、巨人時代の03年7月29日の中日戦(東京ドーム)が124球で3安打、同年9月2日の中日戦(倉敷)は120球で5安打。オリックス時代の10年6月29日楽天戦(京セラドーム大阪)は138球で4安打、12年4月8日楽天戦(同)は95球で4安打。この日の91球、2安打はともに最少。