<楽天1-4日本ハム>◇10日◇Kスタ宮城

 大きく息をついた。日本ハム武田久投手(34)が、静かに大台を迎えた。最終9回。中軸からを3者凡退で締めた。プロ野球史上11人目、プロ通算150セーブ目。勲章が、また1つ増えた。100ホールド&150セーブはカブス藤川の阪神時代以来、2人目の快挙。「数字はピンとこない」。涼しく流せるほど、荒れたマウンドを守り続けていた。

 しんみりと本音を漏らした。「打たれた時の方が記憶に残っている」。時に先発投手の白星を消滅させ、抑えるのが当たり前とみられる役回り。170センチと小さな体で、一線を走り続けている中で、譲らないポリシーがある。強気の投球を支えるメンタリティーを、こう打ち明けた。「ゴメン、ゴメンと謝ったら僕の中では選手として終わりかな、と思う」。

 試合を壊し、勝利投手の権利を失わせた先発らに、これまで1度も謝罪したことがないという。34歳。「野球以外では丸くなってきている」と言うが、ユニホームを着ている時は一貫している。なぜか。「謝る時は、本当に悪いって思っていない時かなと。あと自分が楽になる」。もちろん痛恨の思いがある。だが自分自身の中で背負い込み、消化し、次戦への活力へ転化してきた。

 9月には待望の第2子、女児が誕生する予定のプロ11年目。痛めていた右肘は6月に湿布の影響でかぶれた跡が残ったまま。この日も長袖のアンダーシャツで隠し、仕事をした。ブルペンのスペシャリスト。強く、たくましく、次の持ち場へ向かう。【高山通史】

 ▼通算150セーブ=武田久(日本ハム)

 10日の楽天10回戦(Kスタ宮城)で今季15セーブ目を挙げて達成。プロ野球11人目。初セーブは05年9月22日のオリックス17回戦(スカイマーク)で記録。