<阪神0-6DeNA>◇13日◇甲子園

 剛球伝説が幕を開けた。2年目右腕の阪神松田遼馬投手(19)がプロ初マウンドを踏んだ。最速149キロの直球を中心に、グイグイと押す投球で1回を無失点。「ポスト球児」と期待された男が、甲子園で確かな第1歩を記した。

 「緊張しました。結果が0で良かったです。次につなげていきたい」

 5点ビハインドの8回。その名前がコールされた。「ピッチャー松田」。7日に出場選手登録されてから、ようやく迎えたデビュー戦。ブルペンからリリーフカーを使わず、はつらつとマウンドまで駆け足で上がった。その初球。145キロ直球に、石川のバットが空を切る。しぶとく粘られながら、11球目の直球で空振り三振を奪った。2死からモーガンには右前打を許したが代走荒波が二盗に失敗し、無失点で初登板を終えた。投じた20球の内、15球がストレート。松田らしさを出せたマウンドに「四球がなかったのが良かった。腕を振って、真っすぐを投げられたのが良かった」と振り返った。

 昨秋の安芸キャンプで頭角を現した。メジャー移籍した藤川の穴を埋める、将来のストッパーとして期待された。春季キャンプでは1軍に抜てきされたが、終盤に肩の張りが出てしまい、リハビリを余儀なくされた。5月下旬に実戦復帰すると、球威も着実に戻り、初の1軍昇格を勝ち取った。

 19歳の躍動に、バックも鼓舞された。西岡は「気持ちが入っていると、野手にも届く。そういう姿を見せてくれたのはプラスになる」と称賛した。松田にとって初めてのブルペンも勉強だ。「覚えることが多くて、それでいっぱいいっぱいです」と、先輩に水を渡したり、記録を付けたりする日々に充実感を得ている。

 これからどれだけ大きく育つのか。夢を抱かせるには十分なデビュー戦だった。【山本大地】

 ◆松田遼馬(まつだ・りょうま)1994年(平6)2月8日、長崎県生まれ。波佐見のエースとして3年センバツでは横浜と対戦し、1失点完投勝利。11年ドラフト5位で阪神入団。昨オフからリリーフに転向。今春キャンプは1軍に抜てきされた。今季ウエスタン・リーグで9試合に登板し、0勝0敗、10イニング2/3を投げ無失点。184センチ、89キロ。右投げ右打ち。