<阪神3-8巨人>◇16日◇甲子園

 どっちがホームや、どっちが挑戦者や!

 甲子園の伝統の一戦で15年ぶりの屈辱を味わった。初回の3点先制から6回まではスイスイ。ところが7回、継投遅れに右翼今成の後逸、敬遠後の押し出し四球に満塁走者一掃打…。悪夢のオンパレードで一挙8失点し大逆転を食らった。ジェット風船が宙を舞い、怒りに満ちた甲子園。今日17日の前半戦ラストだけは、絶対勝て!

 風船も力なく見えた。阪神のラッキーセブンを前に、アンラッキーな7回が待っていた。奮闘してきたベテラン救援陣が炎上の連鎖。村田への押し出し四球でピュ~。高橋由の走者一掃二塁打でピュ~ピュ~。膨らんだまま出番を待ち切れなかった名物が、次々と宙に舞った。甲子園の巨人戦では15年ぶりとなる大量失点。悪夢から覚めると、満員だったスタンドは空席だらけになっていた。

 力ない背中を悲鳴が追った。7回、3点を追い付かれてなおも1死二塁。中井の右前打に、右翼今成は果敢に突っ込んだ。打球の伸びと捕手登録の急造外野手の動きが合わない。中途半端なタイミングになったハーフバウンドは、左側をスルリ…。フェンスまで転がる打球を見詰めているうちに、勝ち越しの走者がホームに生還した。

 和田監督

 完全にサードでランナーが止まっていたから、焦る必要もなかったんだけど。経験の浅さが出たけど、こっちも承知でやらせているから。ベンチの責任。

 背負う指揮官も、力なかった。中5日で先発した「Gキラー」スタンリッジは99球で力尽きた。1点を返され1死二、三塁。代打石井のコールに迷わず左腕加藤を送った。巨人は代打の代打矢野。初球をたたかれた三塁線を抜けるゴロが、同点の2点二塁打となった。「そこでの勝負に負けたということ」。

 代わった安藤が2死二、三塁で阿部を敬遠した。満塁策が裏目に出る。続く村田にまさかの押し出し。和田監督も「どちら(阿部と村田)を打ち取れるかということ」と顔をしかめるしかなかった。代打矢野を想定していたかの問いかけに「もちろん」。6回の藤井彰に代打を考えなかったのかの声にも「もちろん、もちろん」。繰り出す策が相次いで失敗し、元気なく相づちを打つしかなかった。

 一挙に3点先制で始まった第2ラウンド。ワッショイワッショイは続かず、2回以降はゼロ行進。強烈な先制パンチが終盤に倍返しされるKO負けとなった。「首位攻防」だったはずの巨人戦で連日、力の差を見せられた。ゲーム差3・5となった宿敵には、これで4連敗。しかも本拠地甲子園での負けっ放しに、虎党の叫びは強烈になっていく。

 大和が負傷退場、支えてきた救援陣がつかまり、3点差をひっくり返された。ダメージ大の負け戦。「ここまで後ろの4人(福原、安藤、加藤、筒井)で勝ってきたので、信頼が揺らぐことはない。明日もやってもらいます!」。順調に歩んできた前半戦のラストゲーム。ここでの3タテは許されない。【近間康隆】