<阪神8-1中日>◇30日◇甲子園

 もう、やるしかない。中日高木守道監督(72)が大胆なオーダー変更を予言した。10安打を放ちながら10残塁。1点しか取れずに惨敗した。4連敗、借金は今季ワーストタイの13に逆戻りだ。イライラが頂点に達した指揮官は「明日はするぞ。まあ、楽しみにしとって。ファームと間違えるよ」と打線大改造を予告。若手中心オーダーで夏バテを解消する。

 敗軍の将が断を下した。高木監督は帰りのバスに向かう通路でもうつむいたままだった。報道陣の問いかけにもほとんど答えない。口にしたのは、残塁10を積み上げた夏バテ打線についてのグチだけだった。

 「打てない。点が取れない。あとはいつも言っとることや。言いたくない」

 だが、バスに乗り込む瞬間にニヤリと笑って言った。

 「明日はするぞ。まあ、楽しみにしとって。ファームと間違えるよ」

 屈辱の3時間38分を見届けると、すぐに頭に浮かんだのが若手中心のオーダーだった。バスに乗り込む際のスマイルは、大胆にオーダーを切り替える予告。打線の改造に踏み切る。

 後半戦スタートから6試合で1勝5敗。前半戦ラスト6試合で5勝1敗とノリノリだったチームが、その貯金をはき出した。何よりも深刻なのが打てない打線だ。27日巨人戦の6回から、この試合の8回まで21イニング連続無得点。ゼロ地獄を止めたのは、途中から出場した松井雅が放った9回のタイムリーだった。

 確かに目立ったのは若手ばかりだった。5番平田が11年5月22日楽天戦(ナゴヤドーム)以来の1試合4安打を放てば、高橋周が9回に今季初ヒットとなる左前打。好投を続ける阪神メッセンジャーを最後に引きずり下ろす意地を見せた。

 井上打撃コーチも「最終的に決めるのは監督だけど、アリだと思う。お前ら点差関係なく思いっきりやれって言って、どれだけ必死になってやるか楽しみ」と監督の思いを説明した。大島から始まり、谷、野本、岩崎、松井雅、平田…。平均20代のオーダーとなる可能性は十分にある。このままズルズル落ちていくわけにはいかない。夏バテ気味の打線を“暴走オーダー”でよみがえらせる。【桝井聡】