<阪神4-6中日>◇1日◇甲子園

 中日高橋周平内野手(19)が球団史上最年少グランドスラムをぶちかました。1点を追う6回。1死満塁で逆転満塁弾をバックスクリーンに運び去った。19歳6カ月で快挙を達成。プロ2年目の今季、苦しんだ男が大仕事をやってのけた。

 聖地甲子園でスラッガーとしての素質を証明した。1点を追う6回1死満塁。打席に入った高橋周が甲子園の大観衆を一瞬で黙らせた。カウント3ボール1ストライクから低めの直球を無我夢中でつかまえた。「思い切り振る、それが自分にできること」。打球は低空飛行でバックスクリーンにズド~ン。19歳6カ月。球団史上、最年少となる満塁弾で試合をひっくり返した。

 今季初のスタメン抜てきに応えた。今季は今カードまで1軍で無安打。それが1戦目で今季初安打を放つと、この日の4回には2死三塁から右前打を放ち、今季初打点をマーク。前夜の試合後に「明日から周平くらい使おうかな」と話していた高木監督も、2段ロケットのような打球に「見事やね」とびっくり仰天だ。

 プロ2年目は春の沖縄キャンプからつまずいた。ハードな練習に食事が喉を通らずベストから5キロ近く体重が激減し、打球の飛距離も落ちた。オープン戦中には発熱を起こして調子を崩した。反省を生かして開幕後は食生活から見直し、体重もアップ。最近になってようやく力感たっぷりの本来の打撃が戻ってきた。

 家族の支えに助けられた。フレッシュ球宴から一夜明けた7月19日。1日しかなかった休みを利用して神奈川県内の実家に帰省した。夕食のテーブルに並んでいたのはちらしずし、グラタン、ハンバーグ…。好物でテーブルが埋め尽くされていた。心と体をたっぷりと充電して翌日に1軍合流した。

 前日には同期入団の20歳西川がプロ初勝利を挙げた。プライベートでは買い物や食事にも出かける仲間の活躍に続いた。高木監督は「ルナを外してでも使うよ(笑い)」と4日から1軍出場可能なルナを引き合いに出して笑いを誘った。今日2日からは家族の待つ横浜でDeNA戦。スタメン出場は間違いない。期待の19歳が暴れまくる。【桝井聡】

 ▼19歳6カ月の高橋周がプロ入り初の満塁本塁打。10代選手の満塁本塁打は08年4月6日坂本(巨人=19歳3カ月)以来で、セ・リーグ4人、5本目。満塁本塁打の最年少記録は56年4月11日米田(阪急)の18歳1カ月だが、高橋周の19歳6カ月はセ・リーグでは坂本に次いで2番目の年少記録。中日では69年9月3日江島の19歳9カ月を抜く最年少満塁弾となった。