4連勝で東京に乗り込んだ阪神和田豊監督(50)は総力戦での巨人戦3連勝に狙いを定めた。中継ぎ陣には明日なき総動員指令。2シーズンぶりに中日山井から得点を奪い、早期KOした「2番右翼今成、6番中堅福留」の攻撃オーダーの再現も用意した。勢いは十分、戦力も戻ってきた。やるしかないで!

 機は熟した。指名練習で神宮の杜に現れた和田監督は、穏やかなまなざしで野球少年を見詰めていた。出てくる言葉は歯切れがいい。かつて鬼門と呼ばれたナゴヤドームで中日をスイープ。貯金を5年ぶりの17とし、4連勝で東京入りした。最大9あった巨人とのゲーム差は、5まで詰めた。厳しい数字に変わりはないが、今の阪神なら何かやれる気がする。

 和田監督

 非常にバランスの取れた状態で、いい勝負ができると思う。ただ時期的にいい勝負をするだけじゃダメ。結果がすべてになってくる。メンバーがそろって、さあいこう!

 と一番いい状況で東京ドームに来ることができた。

 球宴明けに1度は失速した。そこから福留や西岡、日高も復帰、打線は最近5試合中4試合で2桁安打と復調。先発ローテーションも1カ月がかりで巨人戦に照準を合わせ、スタンリッジと榎田、能見の「Gキラー」をぶつける。最善を尽くして、準備した。その心得が実ったと感じる「5ゲーム差」での直接対決だ。

 和田監督

 まずは初戦。その積み重ねで3ついこうとね。右とか左とかじゃなく、状態のいい選手を使おうと思っています。3連戦は総合力、チーム力の勝負になる。

 総力戦で「3連勝宣言」を実らせる。25日中日戦では2番右翼に今成、福留を中堅で起用した。打撃重視で、難敵山井を打ち崩した。今日27日の相手先発は左腕内海で、中堅は俊介の先発が濃厚。宮国と沢村が予想される明日28日以降は、再び攻撃的オーダーが組まれる可能性は十分にある。

 昨季は巨人にわずか5勝で10も負け越した。「伝統の一戦」の名にふさわしい決戦も、残り7試合。今回、敵地で3連勝すれば、早々と巨人戦勝ち越しが決まり、何よりも2ゲーム差に縮められる。

 和田監督

 前回の東京ドーム3連戦やって、この3連戦を見据えてきた。ここからが真価が問われる。ここで踏ん張ることで、次の甲子園での3連戦も見えてくる。

 虎将の目は、確かに何かを捉えている。【近間康隆】