阪神が来季の新外国人候補として楽天ケーシー・マギー内野手(30)を調査していることが27日、分かった。都内で行われた編成会議では新外国人選手を中心に来季の構想が話し合われたが、新大砲候補としては中村勝広GM(64)が米国での視察から持ち帰ったリストの他に、今季で楽天と契約が切れるマギーの名前が浮上した。

 東京ドームでの首位決戦初戦は完封の屈辱だった。巨人のエース内海の前に、阪神打線は8回途中まで6安打に封じ込まれた。目の前で2本塁打を見せつけられての悔しい敗戦。まだ逆転優勝へあきらめるわけにはいかないが、水面下では来季へのチーム作りも進められている。

 その目玉となる新大砲候補には、意外な大物が浮上した。優勝争いする楽天を引っ張るマギーは今季、年俸1億5000万円で入団した右の大砲。27日時点で109試合に出場し、打率3割7厘、21本塁打、71打点とパ・リーグ首位を走るチームの原動力となっている。ただ契約は1年限りで、来季は米国への帰国も視野に入れているという情報もある。

 球団幹部によれば、阪神はストッパーとともに来季の重要な補強ポイントが「4番」だ。今季はマートンが務めており、打率3割8厘、11本塁打、66打点とチームの躍進に貢献している。ただ、本塁打数ではブランコ、バレンティンら他球団の主砲には及ばない。マートンが3番、5番を打てるような大砲が獲得できれば、さらなる強力打線が組める。

 その調査を目的として8月中旬には中村GMが渡米した。球団関係者によれば、大砲候補のリストが挙がっているというが、ポイントは守備位置だ。一塁に限れば、よりパワーのある打者はいるが、今季5番を務め、和田阪神の躍進に貢献している新井貴とポジションがダブってしまう。その場合、新井貴と新助っ人の競争になるが、三塁を守れる大砲を獲得できれば最もバランスのとれる布陣になる。マギーはパ・リーグですでに20本以上の本塁打を放っており、パワーは証明済みだ。

 球団はこれまでに来季の大砲候補として、過去にリストアップした元パイレーツのジェフ・クレメント内野手(30)ら、米国でプレーする大砲と日本で実績のあるオリックス李大浩らを調査してきた。そこにマギーの名前も浮上した。この日、都内で編成会議を終えた南球団社長は「まだ、これがフィックス(確定)ではないからね。流動的に変わるものだし、9月中旬に変わることもあるから」と話した。今後のチーム状況、他球団の動き次第で戦略も変わってくるが、新井貴との共存をはかる上では、うってつけの候補が浮上した。

 ◆ケーシー・マギー

 1982年10月12日、米カリフォルニア州生まれ。03年ドラフト10巡目でカブス入り。08年オフにブルワーズに移籍し、09年からメジャーに定着。9月に新人月間MVPに輝くなど、両リーグ新人1位の66打点で新人王得票5位に入った。10年は8月に球団記録の9打数連続安打を記録。地元記者が選ぶチームMVPを獲得した。11年オフにパイレーツに移籍し、昨季は7月にヤンキース移籍。昨オフ、1年契約の年俸1億5000万円(推定)で楽天に入団した。185センチ、99キロ。右投げ右打ち。家族は夫人と1男1女。