野球・ソフトボールが2020年東京五輪で復活する可能性が出てきた。20年夏季五輪の開催地は、国際オリンピック委員会(IOC)総会(7日=日本時間8日早朝)で、東京がイスタンブールを破り、アジアでは初となる2度目が決まった。また、レスリングが実施競技に決定。一方、野球・ソフトボールの五輪競技への復帰を後押しする声が出てきた。正式復帰は容易ではないが、IOC会長選もからみ、可能性は残る。今後の行方は流動的だ。

 桐光学園の松井が投げ、日本ハム大谷が打つ。そんな夢プランが、20年東京五輪で見られるかもしれない。IOCの一部委員が、東京五輪での野球・ソフトボールの復活に前向きな姿勢をみせた。

 8日のIOC総会では20年東京五輪競技を選ぶ投票が行われた。2月のIOC理事会で除外候補となったレスリングが過半数(48票)を超える49票を獲得。野球・ソフトボールは24票(スカッシュは22票)で落選した。関係者は落胆に暮れていただけに、一部のIOC委員の意向は、一筋の希望の光になる。

 IOC委員でもある日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長は一部委員の声に「そりゃそうですよ。五輪憲章を変える必要はあるが、日本では一番人気のあるスポーツですから」と言えば、青木剛専務理事も「加えていただければありがたいし、期待したい」と話す。実際、前回64年東京五輪でも野球は行われた。公開競技ではあったが、米国大学選抜を相手に日本の大学選抜と社会人選抜が戦っている。

 追い風もある。10日のIOC総会でジャック・ロゲ会長の後任を決める選挙が控える。本命はドイツ人の弁護士トーマス・バッハ氏。バッハ氏は現会長の路線とは違う独自の考えを持つ。ロゲ会長は夏季五輪の肥大化を防ぐため28競技の上限に厳格だった。バッハ氏は競技数の増加に寛容といわれる。

 野球・ソフトボールの復活の夢は広がる一方で、実現までの道のりは簡単ではない。IOCの憲法ともいうべき五輪憲章には「競技数は28を超えない」と明記されている。現段階で20年東京五輪の競技数は上限の28。野球・ソフトボールは29競技目になるため、五輪憲章を改正しなければならない。改正には、委員の投票総数の3分の2の賛成が必要。開催都市決定の過半数に比べ、ハードルは高い。

 それでも、前夜の落選からいちるの望みが出てきたことは事実。人気の高い野球はもちろん、08年北京五輪で金メダルを獲得したソフトボールの勇姿は、まだ記憶に新しい。野球・ソフトボールの復活なら、20年東京五輪がさらに盛り上がることは間違いない。