ポスト鳥谷を獲れ-。阪神が今秋のドラフトで将来の正遊撃手候補を指名する方針が16日、明らかになった。現在、球界を代表する遊撃手となった鳥谷敬内野手(32)に続く存在はチーム内に見当たらない。そこで東海大甲府・渡辺諒内野手(3年)を上位候補としてリストアップ。法大・西浦直亨内野手(4年=天理)、JR東日本・田中広輔内野手(24=東海大)らも候補に挙げている。阪神伝統の名遊撃手の系譜をつないでいく。

 球団関係者によれば、今年も遊撃手の獲得はドラフトの1つの課題になるという。03年に自由獲得枠で入団した鳥谷がここ10年間、不動の遊撃手として猛虎を支えてきた。今年も全127試合で遊撃を守っている。11年にゴールデングラブ賞を獲得している鳥谷の守備の安定感は球界NO・1とも言える。だからこそ、今のうちにポスト鳥谷を育てる必要があるという。

 今年、ポスト鳥谷の候補として挙がっている選手の中で、最も将来性が期待されるのが、東海大甲府の渡辺だ。高校通算36本塁打の打力、走攻守にスケールが大きく、同校の村中監督をして、11年ドラフト1位で中日に入団した高橋周よりも総合力では上ではないかと言わしめる。台湾で行われた18Uワールドカップでは桐光学園・松井、大阪桐蔭・森らとともに準優勝に貢献した。

 法大の西浦は天理高3年夏に奈良大会記録となる打率8割1分をマークした好打者で、名門法大でも4番を務め、遊撃守備では強肩を生かしたプレーを見せている。また、JR東日本の田中は171センチと小柄だが、俊足と安定した守備力が評価されている。東海大相模高時代、通算38本塁打を放ったパンチ力もある。社会人1年目の昨季はいきなり都市対抗で活躍し、若獅子賞を獲得している。

 現在、阪神では昨年のドラフト2位北條、2年目の西田らが2軍の内野手として実戦に数多く出場して、試合経験を積んでいる。いずれも甲子園で証明した打力、守備センスに磨きをかけているが、この選手たちとともに競争できる逸材がいれば、さらに「ポスト鳥谷育成プロジェクト」は進むというわけだ。ドラフトまであと1カ月、球団の明るい未来のために、全国の逸材に猛虎スカウト陣が目を光らせる。

 ◆渡辺諒(わたなべ・りょう)1995年(平7)4月30日、茨城県土浦市生まれ。小学1年から野球を始め、高橋周平(現中日)にあこがれ、東海大甲府へ進学。1年春からベンチ入り。3年春は4番として甲子園出場。中学時代は陸上部。投手としても最速146キロを計測。遠投100メートルの強肩。178センチ、80キロ。右投げ右打ち。

 ◆西浦直亨(にしうら・なおみち)1991年(平3)4月11日、奈良県大淀町生まれ。小学3年から投手として野球を始め、天理高では2年から遊撃のレギュラー。3年夏の県大会で打率8割1分という驚異的な数字を記録し、注目された。法大では4年春にベストナイン受賞。178センチ、75キロ。右投げ右打ち。

 ◆田中広輔(たなか・こうすけ)1989年(平元)7月3日、神奈川県生まれ。東海大相模から東海大を経て、JR東日本入り。安定感ある打撃と広い守備範囲に定評がある。171センチ、79キロ。右投げ左打ち。