<西武2-4日本ハム>◇18日◇西武ドーム

 声が上ずる。日本ハム栗山英樹監督(52)が、久々に雄弁になった。同点の9回。高難度の小技をさく裂させ、西武をうっちゃった。すべて逆転での連敗を4でストップ。皮肉にも、逆転勝ちで負の連鎖にくさびを打った。「死ぬかと思った」ほどの精神の消耗戦を制した。

 痛快に決めた。9回1死一、三塁。途中出場の今浪にセーフティースクイズを仕掛けた。左打者は、捕手からは三塁走者の中島の動きが視野に捉えやすい。走者が投球と同時にスタートを切る、オーソドックスなスクイズでは成功率が低い、と踏んだ。

 執念の脇役がヒーローになった。今浪は「普通に勝ちたいと思っていた」とフルに集中。一塁前へ強めのゴロを転がし、快足の中島は本塁を陥れた。相手失策を誘い、この回2点。1点を追う6回の同点の1点も、捕逸によるもの。我慢比べに勝った。

 負ければリーグ連覇の夢が完全消滅の大一番。故障離脱中の中田と並びパ本塁打王のアブレイユを蓄積疲労などを理由に、先発から外した小粒な打線が土壇場で生きた。栗山監督は「ギリギリのところでやらないと(選手が)うまくならない」。将来性あふれる若手主体で、まだまだあがく。【高山通史】