<日本ハム6-5ロッテ>◇26日◇札幌ドーム

 日本ハム大谷翔平投手(19)が辛くも初黒星を免れた。ロッテ戦で先発し、5回を投げ7四死球と制球を乱し3失点。リードを許し降板したが、打線が6回に4点を奪って逆転し、1点差で振り切った。大谷は4勝目こそならなかったが、登板12試合で負けなし。チームも負けか引き分けでクライマックスシリーズ(CS)進出が消滅する崖っぷちで踏みとどまった。

 表情は正直だった。勝利を見届けた大谷に、晴れやかな笑顔はなかった。「粘り強く、いい攻撃だったと思います。リリーフにも助けられました」。5回3失点(自責2)。リードを許してマウンドを降りたが、味方打線が6回に逆転し、プロ初黒星を免れた。悔しさいっぱいに、デビューからの不敗は継続した。

 快投の予感はあった。「朝から、体の状態はよかった」。練習中のキャッチボールで、実感した。1回、先頭の岡田を真っすぐ2球で打ち取った。「今日はいける」。予感が、確信に変わりつつあった。

 その直後だ。荻野貴をこの日最速の155キロで1ボール2ストライクと追い込んだが、決め球のフォークが、内角に抜けた。死球。「あそこをポンポンといければ乗れた。リズムを崩してしまった」。たった1球のミスが、その先の未来を大きく変えた。

 立て直せないまま、ブラゼル、サブローにも四球を与えて満塁とすると、福浦にも3者連続四球で押し出し。さらにバッテリーミス(捕逸)も加わり、ノーヒットで2点を失った。「守備にも悪いリズムだったと思う。初回が大事。反省して次につないでいきたいです」。5回まで、許した安打はわずか2本ながら、7四死球の乱調。人さし指にマメができた影響もあって、6回のマウンドに上がることはなかった。

 来季以降を見据え、栗山監督は結果も求めていた。「もうちゃんと成績を残さないとダメ。来年ローテでやれるようなピッチングを見せてもらわないと」と送り出した。来季も投打「二刀流」への挑戦は変わらないが、比重は大きく投手にシフトする。構想では、中6日でローテを守りながら、合間の1、2試合に野手で出場するのが理想型。だがこの日の内容は、指揮官を納得させるものではなかった。チームは逆転勝ちし、4カードぶりの勝ち越しを決めたが、同監督は「初回は自分の中でいろいろ考えればいい」。大谷には、厳しく、反省を促した。

 次回登板予定の10月4日ソフトバンク戦(札幌ドーム)が、今季ラスト登板となる見込み。「勝ちを目指してやっていきたいです」。人一倍奮闘し、多くの汗を流してきた1年。最後は笑って、終わりたい。【本間翼】