<中日4-2阪神>◇29日◇ナゴヤドーム

 最後まで戦う-。今オフに左肘手術が決まっている中日大島洋平外野手(27)が、8回に決勝打を放った。今季は左肘痛の影響もあり、悔しいシーズンを送った男は「しっかりやりきってから終わりたい」とシーズン終了まで戦力となることを宣言。最後までファイティングポーズを取り続ける。

 大きくはずんだ打球が阪神メッセンジャーの伸ばしたグラブを越えた。試合を決めたのは代打出場の大島だった。2-2と同点で迎えた8回2死満塁。低めのボール球を天性のバットコントロールでつかまえた。ボールはワンバウンドで一、二塁間へ。二塁手西岡が一塁に送球しセーフ。隙を突いて二塁走者・平田も本塁に滑り込んだ。

 「まっすぐは意識していたのでタイミングを早めに取った。“クソボール”でもなかったので。そこが自分の持ち味でもある」

 殊勲打を放ったヒーロー大島はしみじみと話した。定位置は「1番中堅」。それが今季途中からベンチスタートが多くなった。昨季は打率3割1分、172安打を放ち、全144試合に出場。それが今季はあと3試合を残し、打率2割4分5厘、119安打。WBC落選の原因にもなった左肘の違和感に苦しみ、本来の打撃からはほど遠い状態にある。

 待っているのは、もちろん「バラ色のオフ」ではない。手術だ。来月12日には名古屋市内の病院で左肘の遊離軟骨除去と関節内のクリーニング手術を受ける。リハビリ期間などを考慮して、シーズン中の手術も考えられたが大島は首を横に振った。

 「とにかく自分のできることをしっかりやって終わりたい。それが来年につながる。手術だからって(2軍に)落ちるのは簡単だけど、それはしたくない。しっかりやりきって終わりたい」

 順調に手術が成功すれば、12月からボールを握れるという。この日も、いつものように試合後に打ち込んだ大島の表情は吹っ切れていた。竜再建に不可欠な要素。それが背番号8の復活だ。【桝井聡】