大竹さんの穴はベストパフォーマンスで埋める!

 広島前田健太投手(25)がエースの自覚をにじませた。13日、所用のため広島市内のマツダスタジアムを訪問。前日12日に今季のCS進出をともに引っ張った大竹寛投手(30)が国内FA権行使を表明した。退団が決定的な先輩との別れに寂しさを募らせながら、先頭に立って「穴埋め」作業することを誓った。

 前田健は寂しさをグッとこらえた。苦楽を分かち合った大竹のFA退団が決定的な状況。いちるの望みを抱きながら、絶対的エースとしての誓いを立てた。

 前田健

 大竹さんが抜けた分を埋めないといけない。まずは自分が先頭に立って、今まで以上の成績を残さないと。

 5歳上の先輩には、1年目の07年から指導を仰ぎ続けた。投球スタイルを変化させてくれた恩人でもある。「特にシュートがすごい印象があった。インコースに投げるのは難しいのに、そこにどんどん投げる。自分は最初シュート系のボールがなかったんで、あればと思った」。大竹の存在がツーシーム習得を後押しし、進化を導いてくれた。

 前田健

 シュートの握りを聞いたこともある。先輩だけど何でも言える相手。大竹さんが僕に聞いてきてくれることもあった。

 FA権行使を知った時は「ビックリした」と振り返る。「宣言して残ってもいいと球団が言っている。残ってくれたらベストですけど…。寂しいです」。とはいえ、悲しみに暮れてばかりはいられない。広島のリーダーとして、チーム全体の底上げに取りかかる。

 前田健

 FAする、しないは僕が何か言える問題じゃないけど、チームとしても痛い。みんなでカバーしていかなければいけない。また新しい選手が出てくるかもしれない。僕も黒田さんが抜けて、入れるチャンスをもらったので。

 1年目を終えた07年オフのことだった。当時絶対的エースだった黒田(現ヤンキースFA)がドジャースにFA移籍。前田健は2年目の08年に9勝してブレークした。自身も例にあげて若手の台頭を期待。同時に大竹との投げ合いを思い浮かべ、力強く言い切った。

 前田健

 そうなれば勝ちに行きますよ。不思議な感覚で慣れるまでは時間がかかると思いますけどね。

 「2桁勝利カルテット」は解体される。ならばオレが…。言葉の節々から自覚がにじみ出た。【佐井陽介】