掛布DCにオフはない!

 25年ぶりに現場復帰した阪神の掛布雅之GM付育成&打撃コーディネーター(DC=58)が11月30日、大阪市内のホテルでOB会総会に出席。秋季キャンプでの熱血指導に続き、来年1月の新人合同自主トレにも足を運ぶプランを明かした。ドラフト2位指名の鹿児島実・横田慎太郎外野手(18)ら期待の野手を1日でも早く目にしたい指導欲の表れだ。

 秋季キャンプでの熱血指導から10日が過ぎた。昨年までとは違い、球団スタッフとしての肩書を得てOB会総会に出席した掛布DCの熱は冷めていなかった。

 「鳴尾にも行かせていただいて、安芸でも参加しているメンバーを見られた。参加していないメンバーもゲームの中で見ている。見ていないのは新しい選手だけだよね」

 暦はもう12月。秋季練習を打ち上げた鳴尾浜はにぎやかさがなくなり、冬の寒さを一層感じる。年が明ければ、意欲に満ちたルーキーに交じって、熱い掛布DCが帰ってくる。この秋のドラフトで指名した新人の話題に、すぐさま2位指名横田の名前を挙げた。

 「かなり大きいサイズで入ってくる。早くバッティングしている姿を見たい。スイングだとか、ボールをたたいている姿をね」

 高校通算29発を誇る左打ちのスラッガーは自身と重なる部分もあり、気になる様子。12月と1月は野球協約により、監督やコーチが選手に指導できない決まり。それでも掛布DCは「見たりするのはOKなんでしょ」と報道陣に確認。「ティーをたたくことがあるのであれば、時間を聞いて見た方がよい」。せめて見るだけでも、の思いは誰にも止められない。

 11月は安芸キャンプや残留組が練習した鳴尾浜を訪れ、若手選手にアドバイスを送った。主力選手は野球解説者として、シーズン中に確認済み。残った金の卵への熱い思いが、新年早々から体を動かす。

 そんな横田は仮契約で「教えてもらえるものは全て吸収していきたい」と掛布塾入りを熱望していた。相思相愛の横田に3位陽川、4位梅野と、来季タテジマをまとう野手は3人。プロの世界に足を踏み入れるルーキーとの遭遇に、掛布DCがうずうずしている。【松本航】

 ◆新人合同自主トレ

 プロ1年目の選手が、トレーニングコーチなどの指導を受け行う基礎体力練習。監督や技術コーチによる直接指導は認められていない。阪神では通常、入寮が落ち着いた1月中旬から鳴尾浜で実施する。ユニホーム姿ではなくトレーニングウエアを着用する。

 ◆野球協約第173条(ポスト・シーズン)「球団又は選手は毎年12月1日から翌年1月31日までの期間においては、いかなる野球試合又は合同練習あるいは野球指導も行うことはできない。ただし、コミッショナーが特に許可した場合はこの限りでない。なお、選手が球団の命令に基づかず自由意志によって基礎練習を行うことを妨げない」