新井貴浩内野手(36)が4番だ!

 阪神掛布雅之GM付育成&打撃コーディネーター(DC=58)が、4番奪回を目指す新井にハッパを掛けた。新4番候補の新外国人マウロ・ゴメス内野手(29=ナショナルズ)加入を受けても、虎の4番でならした掛布DCの青写真は新井が打線の軸。元4番の反発力を猛烈にあおるメッセージを送った。

 タイガースのですね、4番はですね、新井クンなんですよ、ええ-。

 掛布DCの青写真は鮮明だった。「4番新井」の持論を展開しながら、チーム内の競争激化を期待。4番候補の新助っ人ゴメスから奪い取れと、身ぶり手ぶりで猛ゲキを飛ばした。新井にかける期待の大きさと4番への思いをあらためて強調した。

 掛布DC

 そりゃあゴメスが入ってくるわけですから、当然、彼も危機感をもっていると思いますし。僕はいまだに彼が4番を打つのが一番いいと思っていますからね。バランス的に。それなりの力を出し切れれば、彼が一番適任だと、今の段階ですけど。

 言うまでもなく掛布DCにとって4番は特別なものだ。阪神唯一の日本一となった85年には4番として打率3割、40本、108打点を挙げた。数々の名投手と対峙(たいじ)し、打ち砕いてきた。「阪神の4番」に座る重圧、意味を知っているからこそ、日本人の4番にこだわり、存在感から新井に期待する。その心中を察しながら、ゴメス獲得の劇薬が反骨心を呼び好結果を導くと望んでやまないのだ。

 掛布DC

 負けてられない、冗談じゃないよっていうとこじゃないの。なんでファーストとったの、って。僕が現役だったらそう思うよね。なんで俺がサードにいるのにサードを取るんだ、みたいな。でもそれには自分なりに理由があるからだと、それも本人わかっていると思うんでね。そういう意味では来年の彼の野球、すごく楽しみだよね。

 新井は今季140試合に出場し、打率2割6分7厘と15本塁打の数字を残したが、開幕4番は弟良太に譲り、途中からマートン、鳥谷が務めた。主に5、6番だった新井の4番は12年8月8日巨人戦(東京ドーム)を最後に遠ざかっている。

 今オフは2年ぶりの主砲復帰をテーマに掲げ「肩さえ治ればライバルはいない。自分はそういうこと(新外国人との競争)を考えてやっていない。もう1回、4番を打ちたいと思っている」と燃えている。

 4番奪回-。新井の思いは、掛布DCの願いと合致する。【池本泰尚】

 ▼掛布氏と4番

 掛布氏が初めて4番を打ったのは入団4年目の77年7月18日のヤクルト戦(神宮)。その試合3打席目に梶間から右中間へ「4番初弾」を放っている。88年10月10日のヤクルト戦(甲子園)までの先発4番出場数は「800」で藤村富美男(1069試合)金本知憲(921試合)田淵幸一(812試合)に続き球団歴代4位。また先発4番連続出場数は361試合で金本の880試合に次ぐ球団歴代2位。ミスタータイガースの称号は、つまり虎の4番打者と同義語ともいえる。それだけに後継者への思いは強い。