金の卵のパワフルスイングに度肝を抜かれた。阪神掛布雅之GM付育成&打撃コーディネーター(DC=58)が15日、東京・調布市内で調布シニアの清宮幸太郎選手(14=早実中2年)らを激励した。シート打撃を視察すると、清宮が放った推定160メートルの場外弾に仰天。昨夏のリトルリーグ世界選手権で大活躍した逸材に、「清原、松井クラス」と大絶賛した。スーパー中学生が“ミスタータイガース”の後継者になる?

 幾多のスラッガーを見てきた掛布DCも目を丸くした。清宮が金属バットを振ると「カキーン!」と乾いた音が響き、白球は右翼上空へ。95メートル先のフェンスを越え、後方にそびえ立つ高さ20メートルのネットも越えた。場外弾どころか、周囲もあぜんの160メートル弾だ。

 掛布DC

 非常に可能性を感じる打者というか、もう可能性以上なのかもしれない。柔らかくて力強い。プロに入っても中心を打てるような打者になる可能性がある。清原や松井クラスじゃない?

 高校時代の松井より、柔らかいんじゃないかな。

 阪神の歴代最多349本塁打を記録した掛布DCが絶賛したように、清宮は普通の中学生ではない。ラグビー界の名将の克幸氏(46=現ヤマハ発動機監督)を父に持ち、中学2年にして183センチ、100キロ。昨年のリトルリーグ世界選手権では史上最長弾を含む3発、投げても120キロ台後半の直球で奪三振ショーを演じ、本場米国のファンを驚かせた。

 掛布DCは今秋から古巣復帰。指導者として生え抜きスラッガーの育成に心血を注ぐ。だからこそ、ダイヤの原石に心は躍った。

 掛布DC

 こういう打者が生え抜きで引っ張ってくれたら理想。北條、中谷の下だよな。次世代が入れば、生え抜きのバトンをうまく渡していける。

 清宮も大阪出身の克幸氏の影響を受けて阪神ファン。掛布DCの激励には「生まれる前に活躍していて、野球をしている人は全員知っている偉大な方」と話す。理想は松井秀喜氏だといい、「飛距離が違う。ああいう選手になりたい」と目を細める。かつて松井少年は「阪神掛布」に憧れ、いまは清宮が「ヤンキース松井」を目標にする。そして、掛布DCは有望株に熱視線。不思議な縁に結ばれながら、“ミスタータイガース候補”の才能にほれ込んだ。【酒井俊作】

 ◆清宮幸太郎(きよみや・こうたろう)1999年(平11)5月25日、東京都生まれ。小学4年から本格的に野球を始め、東京北砂リトルでは通算132本塁打を記録した。早実中1年だった昨年8月はリトルリーグ世界選手権に出場。5試合で打率6割6分7厘、3本塁打をマークし、約94メートルの大会史上最長アーチも放った。調布シニア所属の一塁手。183センチ、100キロ。右投げ左打ち。