阪神鳥谷敬内野手(32)が日刊スポーツのインターネットアンケート「阪神の今季重大ニュース」で1、2位を独占した。全2308票のうち360票(15・6%)を占めて1位に輝いたのは、3月のWBC台湾戦で披露した鳥谷の「神業盗塁」だった。優勝するためにFA宣言せず残留したニュースが347票(15・0%)を集め2位。高卒ルーキー藤浪らを抑えたキャプテンが「2013年の顔」に選ばれた。

 ◆1位(3月8日)侍“神業”盗塁

 360票

 ◆2位(11月7日)FA宣言せず残留

 347票

 アンケートは12月9日から受け付けたが、阪神ファンの脳裏には春先の感動シーンがしっかり残っていた。3月8日のWBC2次ラウンド台湾戦は9回も1点を追う展開だった。2死になり、窮地に追い詰められたが、一塁走者鳥谷が単独スチールを決め、井端の同点打を呼んだ。神業スチールとも称されたビッグプレーはファンから絶大な支持を集めた。

 「行けたら行けと、いつも準備しておけと言われている。行けるチャンスがあれば行こうと思っていた」。アウトになれば敗れるプレーだったが「それは全然考えなかった」と振り替える。スキあらば突く。どれほど土俵際まで追い込まれても、勝利への執着心を失わなかった。

 その点で言えば、今年のペナントレースは不完全燃焼だっただろう。打率2割8分2厘、10本塁打、15盗塁という成績よりも、優勝した巨人に12・5ゲーム差をつけられて2位に終わった戦いに悔いがある。「やっぱり巨人との差っていうのはゲーム差に出てきている。(8月末の)巨人戦で3連敗して立て直すことができなかった」。

 生え抜きのリーダーとしてチームを引っ張る立場だ。優勝できなかった責任感がある。だからこそ、来年も阪神でプレーする道を選んだのだろう。この決断は、重大ニュースの2位に食い込んだ。

 アンケートでは「とにかく若手を使って育ててください」(兵庫県、40代男性)など生え抜き選手の活躍、台頭を願う声が多くあった。タテジマ一筋22年の桧山が今季限りで引退。生え抜きリーダー鳥谷は、よりファンの思いを背負うことになる。「鳥谷は打率3割、30本塁打、30盗塁を達成できる力は十分ある」(長崎県、60代男性)。阪神ファンはまだまだ満足していない。

 ◆3位(8月31日)藤浪マー君、江夏以来高卒新人10勝

 341票

 3位には「藤浪の10勝」がランクインした。ルーキーイヤーの今季は開幕からローテに入り10勝6敗。能見、メッセンジャーに次ぐ活躍を見せた。ポストシーズンでも、CS広島戦初戦のマウンドを託された。勝ち投手にこそなれなかったが、19歳とは思えないたくましさが虎党の信頼を勝ち取った。監督推薦での球宴、3倍増4500万円での契約更改など藤浪のトピックスには、いずれも票が入った。

 記録ラッシュの1年だった。開幕3戦目での先発は、阪神の高卒史上最速。8月は4勝負けなしで、球団史上初となる高卒新人での月間MVPを受賞した。新人王こそ16勝を挙げたヤクルト小川に譲ったが、巨人菅野とともに新人特別賞を受賞。エース級の働きが評価された。

 来季は2年目のジンクスとの戦い。数々の賞を受賞するたびに「それに似合った活躍をしないといけない」と気を引き締める。88キロの体を太くしようと食トレを積むなど、パワーアップに余念がない。阪神の未来を背負う19番から目が離せない。

 ◆4位(10月21日)掛布DC就任25年ぶりタテジマ復帰

 221票

 阪神で、今オフ最大の話題はミスタータイガース掛布雅之氏(58)の古巣復帰だった。CS敗退のショックが冷めない10月21日にGM付育成&打撃コーディネーターへの就任を発表。88年に現役引退後、実に25年ぶりのタテジマ復帰を果たした。

 球団最多349本塁打を放った大砲には、生え抜きスラッガーの育成を期待される。11月の安芸キャンプから熱血指導を開始。森田を「小バース」と呼び、新井良を「小ミスター」と名づけた。選手の主張を聞き入れ、褒めて育てる指導手腕は若手選手からも好評だ。伸び悩む伊藤隼とはキャンプ中、連日ホテルの1室で打撃指導を続けた。掛布氏は「もう失敗を怖がるな、自分の間合いで打てとね。野球自体が小さくなっていた」と言う。

 アンケートでは「将来の監督にしてほしい」(福岡県、50代男性)という声も挙がるなど、掛布DCの熱意に再建の期待感を抱いている。

 ◆5位(9月7日)桧山現役引退表明

 球団最長22年間

 201票

 ◆6位(10月13日)CS敗退桧山有終の代打アーチも

 132票

 ◆7位(7月31日)和田監督不倫報道で謝罪

 85票

 ◆8位(5月6日)能見Gに本塁打&完投○

 81票

 ◆9位(4月9日)マー&能見抱擁お立ち台

 66票

 ◆10位(8月20日)屈辱7-0→DeNAに逆転●

 58票

 ◆11位(11月13日)メッセ&マートン残留合意。スタン退団

 49票

 ◆12位(8月29日)能見グラブたたき付け降板。松田初黒星

 45票

 ◆13位(11月22日)呉昇桓&マウロ・ゴメスダブル契約

 36票

 ◆14位(8月26日)西岡&関本本塁打儀式「グラティ」命名

 30票

 ◆15位(12月2日)久保FAでDeNA移籍決断

 28票

 ◆16位(8月30日)鳥谷広島戦で第94代4番に

 25票

 ◆17位(12月4日)呉昇桓韓国で調印式

 24票

 ◆18位(6月24日)上本左足首手術

 21票

 ◆19位(9月15日)榎田バレンティンに56、57号献上

 20票

 ◆20位(10月1日)林威助野原将とともに戦力外。浅井も

 19票