カープ一筋宣言!

 広島ドラフト1位指名の大瀬良大地投手(22=九州共立大)が日刊スポーツ読者に向け、新年の誓いを立てた。今オフは楽天田中がメジャー挑戦を認められ、広島の先輩・前田もメジャー挑戦希望を表明。そんな野球界の流れに逆らうように、黄金ルーキーはメジャー願望を完全否定。1年目は当然の目標として新人王獲得を掲げ、最強の闘鶏を意味する「木鶏」への成長を自らに課した。

 日刊スポーツ読者の皆さん、明けましておめでとうございます。今年からカープの一員になりました大瀬良です。ファンの方々は1年目から先発ローテ入りを期待してくれていると思います。(巨人にFA移籍した)大竹さんも抜けられたし、ローテに入るなら最低でも2桁は勝たないといけない。少しでもチームに貢献して、日本一になれるように頑張ります!

 さて、今年の冬は楽天田中さんのメジャー挑戦に注目が集まっていますね。僕もよく「将来はメジャーに行きたい?」と聞かれるんですが、実は全然知識がないんです。リンスカム(ジャイアンツ)やサバシア(ヤンキース)の名前を聞いたことがあるぐらいで…。試合中継も投手の立場で見るというよりは「このバッターは訳分からないボールを打つなあ」というお客さん目線で見ています。これから結果を出していけば考えるかもしれませんが、現時点でメジャーは考えていません。行きたいという気持ちはゼロです。

 最近はメジャーリーガーになりたいという子供が増えているみたいですね。僕は違いました。小学6年生の時、将来の目標について書いた作文を、体育館に集まった全校生徒の前で読む機会がありました。その時は「日本のプロ野球で取れるタイトルを全部取る」と偉そうに宣言していました(笑い)。そんな感じなので、今はカープのことだけしか考えていません。

 昔は巨人ファンでした。松井さんが好きで、鹿児島の鴨池球場まで巨人戦を見に行っていました。でも、いざカープに入団したら全然気になりませんね。敵になっちゃえば敵ですから。今は強いチームに投げられるのが楽しみです。もともと、強い相手と対戦するのは大好き。勝てばヒーローだな、と思ったらワクワクする。他の人が「うわ~、嫌だな」と感じる相手と戦いたいんです。負けたらどうしよう、なんて考えない。プラス思考なんです。

 昨年12月の入団会見では「日本を代表する投手になりたい」と言いました。高い目標を持たないと成長できないと思っているので、あえてそう口にしました。中学時代の経験があったから、努力すれば何事も不可能ではない、と思えるのかもしれません。中学2年の秋、右肘を痛めて、本気で左投げに転向しようとしたことがあります。左手で箸を使って、指先を鍛えるために文字も左で書いたり…。中学3年になると左で80メートルぐらい投げられるようになって、一塁手として試合に出たこともありました。高校で投手をしたかったので結局手術しましたが、そんな経験もあったからか、目標に向けてならどんなにつらいことでも苦になりません。

 1年目は新人王を取れるぐらいの活躍をしたい。そのためにも不安があるコントロールに磨きをかけたい。昨年11月は、侍ジャパンの一員として台湾戦に登板しました。結果的に抑えられましたが、内容は最悪!

 全然納得できるものではありませんでした。変化球でストライクが取れず、よくゼロに抑えられたなというレベルでした。指先の感覚が優れている投手なら投げ込まなくても制球力を上げられるけど、僕は投げ続けないとダメなタイプ。キャンプでは継続して100球前後を投げ込んで、コントロールの不安を消し去っていきたいですね。

 今回、新年の誓いとして「木鶏」と書きました。九州共立大の仲里監督から教わった言葉です。闘鶏の最強の状態を表す言葉で、木彫りの鶏のように何事にも動じない様子を意味するようです。あの大横綱・双葉山は連勝を69で止められた直後、「未だ木鶏たりえず」というフレーズを使ったそうですね。周りに流されず、しっかり自分を持って、いつか「木鶏」の次元まで進化できるよう、鍛錬していきたいと思います。(広島カープ投手)【取材・構成=佐井陽介】

 ◆大瀬良大地(おおせら・だいち)1991年(平3)6月17日、長崎県生まれ。小学4年から野球を始める。長崎日大では2年秋からエース、3年夏に甲子園出場。九州共立大では新人賞、3季連続MVP。2年時に日米大学野球、3年時はアジア選手権で社会人と合同の日本代表に選ばれる。福岡6大学リーグでは4年間通算で38勝8敗、防御率1.07。ドラフトでは阪神、ヤクルトと競合の末、広島が交渉権を獲得した。187センチ、89キロ。右投げ右打ち。