仏と鬼を使い分ける!

 広島梵英心内野手(33)が3日、日刊スポーツの直撃インタビューに応じ、新選手会長として新年の誓いを立てた。理想とするリーダー像は黒田(現ヤンキース)や新井貴(現阪神)。時には笑顔で若手を包み込み、時には厳しくなれ合いを防ぐ。剛柔を使い分け、チームを23年ぶりのV奪回に導く。

 -今オフ、新選手会長に就任した

 梵

 最初は違う選手が候補だったんですよ。その選手が難しくなった時、年齢順で僕の名前が一番上にあったんでしょう。チームの先を考えたら、若い20歳代の選手の方がいいかなと思っていたんですけどね。できるだけ断ろうと思っていたのに、周りを固められてしまって(笑い)

 -三次高、駒大でも「管理職」を経験してきた

 梵

 高校の時はキャプテン、大学の時は副キャプテンをやっていました。でも、当時はまとめていこうという気持ちはそこまでなかったかもしれませんね。まず1人の選手として結果を残して周りから認められないと、と思っていたので。

 -では今、リーダーとはどんな存在であるべきだと考えるのか

 梵

 発信力がある人。ちゃんと自分の考えを発信できて、プラス選手として成績を残している人ですよね。他のチームのベテラン選手やリーダー、球界を代表する選手たちを見ていると、きっちり成績を残されている方ばかりですから。

 -今まで出会ったリーダーの中で理想とする存在は

 梵

 黒田さんだったり、新井さんだったり、そういうイメージです。発信力があって、すごい成績を残されていて、なおかつ選手からも慕われている。そういう選手が理想像になります。これからは間に挟まれる立場として、いろんな意見を集約して、うまくチームとフロントがいい方向に向かうようにしたい。ケンカしようと思ってやる訳じゃないですからね。

 -昨季も若手を食事やカラオケに誘ったり、ヒーローインタビューの際に「水かけ」のいたずらを仕掛けたり…。グラウンド外でも積極的にコミュニケーションを図っていた

 梵

 ユニホームを着ていると、どうしても自分のことでいっぱいいっぱいになってしまうんで。機会があれば、そういう場を設けたいと思っています。と言っても、自分は自ら率先してワイワイするタイプでもないし、ネタを振るだけですけどね(笑い)。カラオケとか食事会では選手の違う一面を見られる。一方で僕も違う一面を見てもらえる。僕の場合、あまりしゃべらないとか怖いとか、ネガティブなイメージもあると思うので。でもそういう場で盛り上がれば、距離が近くなってコミュニケーションも取りやすくなりますよね。

 -13年は16年ぶりにAクラス入り。一方でCSファイナルステージでは巨人に完敗した。23年ぶりのV奪回に向け、広島というチームに足りないものとは

 梵

 すべてにおいて足りない。カープは他球団と比べて、フロントに意見を言いやすい環境にあると思う。選手同士もそうですけど。それが「なあなあ」になると違う方向に向かってしまう。なれ合いをなくさないと甘えにつながってしまう。そういう意味では、僕が厳しいことを言う役割もしないといけない。そういう時も来るのかなと思う。

 -個人的には、13年は手術明けだった右膝のケアにも時間を費やしながら、117試合出場で打率3割4厘の好成績を残した。順調なら今季中に国内FA権を取得する

 梵

 小さいころからテレビをつければカープの試合をやっていた。チームに愛着はありますよ。FA権を使う、使わないは個人の資格。ただ自分に置き換えてFAを考えたことがないので、その時にならないと分からないですね。膝に関しては、もちろんまだ気は抜けないですけど、もうほとんど気にしなくていい状態。ほぼ100%になりました。今年は選手会長として、フロントと現場をいい方向に持っていきたい。結果的に上に行ければ光栄なことだと思っています。【取材・構成=佐井陽介】