韓流アニキになる!

 阪神の新ストッパー呉昇桓(オ・スンファン)投手(31=韓国・サムスン)が24日、キャンプ地の沖縄・宜野座に入った。約1カ月のグアム自主トレを終えた右腕は、選手と交流する「スンファン会」の開催を熱望。技術や経験の伝授はもちろん、おいしい料理をつつきながらお互いの距離を近づける。石仏の異名を取るが、頼もしいアニキにもなる。

 スンファン会だよ、みーんな集合!

 午前11時7分。予定より約20分早く到着した那覇空港で呉昇桓は冗舌に話し始めた。修学旅行生でごった返すターミナルにも、嫌な顔1つ見せない。新助っ人は早くも虎のアニキの風格を漂わせ、若手投手との食事会プランを口にした。

 呉昇桓

 後輩たちの時間さえ良ければ、いつでも行ってごちそうしてあげたいし、おごってあげたい。先輩たちに関しては、一緒に行っておごってもらいたい。(韓国でも)しょっちゅうありました。(サムスン時代を含めて沖縄は)10年目だけど、日本の選手のほうがおいしいお店を知っているだろうしね。

 呉昇桓が中央に陣取り、若手投手が食事をしながら質問攻めする。熱い野球談議から、投球術、プライベートなことまで…。かつて阪神ではOBの金本氏がアニキと呼ばれ、ファンや選手から慕われた。韓国球界最多の通算277セーブを挙げた男は食事会でチームにとけ込み、野球論を投手陣に伝えていく。一石二鳥で強固な投手陣を形成していくというわけだ。

 「男をつかむなら胃袋をつかめ」を地で行く。グアムでの自主トレで約1カ月共に汗を流したカブス林昌勇からも「一番大事なのは選手と仲良く過ごすこと。1人でいるより寂しくない。自分はそれで楽に野球ができた」とアドバイスを受けた。さらにコミュニケーション法においても懐の深さをうかがわせた。

 呉昇桓

 聞かれたら、教える立場ではなく、話し合うという立場で、自分の持っているものを話していきたい。自分が足りない部分は他の人に聞いて、覚えていきたいと思う。

 グアムでの自主トレを終え、体は出来上がった。「沖縄ではチームプレーとか実戦に向けた練習をやっていきたい。コーチと相談しながらです」と腕を回した。今日25日からはキャンプ地宜野座に乗り込む。すでに能見らが自主トレで体を動かしているが実質的には一番乗りだ。

 マウンドでは常に冷静で表情を変えず「石仏」と呼ばれる。日本でセーブの山を築き韓流アニキとなる時、虎の投手陣も鉄壁の硬さになる。【池本泰尚】