伝統の「ジャイアンツブルー」が復活した。巨人は6日、今季から採用するビジター用ユニホームを初めて着用して宮崎春季キャンプ第2クールに入った。1961年から32シーズン使用したおなじみのカラーで、V9を筆頭とする「巨人軍最強時代」の戦闘服がよみがえった。1軍参加した宮国椋丞投手(21)はブルペンで力投し、一発で1軍昇格をゲット。球団創設80周年に、個性と実力を兼ね備える常勝軍団を築き上げる。

 伝統の「青い戦闘服」に身を包んで、2軍の宮国が闘争心を前に出した。1軍に呼ばれてのブルペン投球。前日に知らされ「思ってたより早く呼ばれたな」と腹をくくった。40球でエンジンが温まった。阿部が左打席、内角いっぱいに立った。原監督も凝視している。一気にギアを上げた。

 阿部の膝元を立て続けにえぐった。強心臓のキャプテンが「お~」とうなり声を上げた。原監督は腕を組み、うなずきながら118球を見届けた。宮国は「力感なく投げられたと思います。少しずつアピールしたいと思います」と、端正な顔を崩さずに振り返った。原監督は練習後に「宿舎を替えて、明日から1軍に上げます」と、即1軍に昇格させることに決めた。

 原監督が評価したのは「非常によく映った」ボールだけではなかった。ブルペン前の会話で、宮国の変化を感じ取っていた。

 原監督

 今日は、今までにない発見をしました。彼の意思で初めて『投げることが楽しい』と言った話を聞いて。ワンランク上がったと思いましたね。

 気の優しい右腕を2軍からスタートさせた。松井臨時コーチに頼み、キャンプ初日にチェックしてもらい、インコースの重要性を説いてもらった。宮国は「自分の心が問題。鬼になります」と受け止め、スケジュールよりも早くはい上がってきた。脱皮した琉球右腕が、自力で競争の舞台に戻ってきた。【佐々木隆史】

 ◆ジャイアンツブルー(Gブルー)時代

 川上監督が就任した61年から92年までの32シーズンで着用。この間、65~73年のV9を含めリーグ優勝を18回、日本一を13回記録した。特にGブルーのユニホームで強かったのが、9連覇が始まった65年と藤田監督で優勝した90年。ビジターの成績は65年が46勝22敗1分けの勝率6割7分6厘、90年は45勝20敗の勝率6割9分2厘と、ホームを上回る高勝率をマークした。王は66、67年と2年続けてビジターで30本塁打を放つなど、Gブルーのユニホームで通算424本塁打している。