スピードガンの数字が、急に上がった。フリーエージェント(FA)で西武から移籍したロッテ涌井秀章投手(27)のスイッチは、いきなり入った。23日、広島との練習試合。2回2死走者なし、打席に栗原を迎えた途端、パワーが放出された。

 涌井

 スピードの数字があまり出ていなかったし、昔から栗原さんには打たれているイメージがあったので、しっかり腕を振ろうと思いました。

 136キロだった直球のスピードが、145キロに増した。最後も143キロの速球で、栗原をあっさり三振に仕留めた。だが、本来の涌井の姿が見られたのは、ほんの一瞬だった。3回には「正直言うと、疲れてしまった」と言うようにスピードも落ち、制球にも乱れが生じた。ロッテのユニホームを着て初の対外試合は、3回4安打1失点で、文字通り試運転となった。

 新天地でのデビュー戦に向け、21日の休日には、唐川とパワースポット巡りをしていた。首里城や鍾乳洞で有名な玉泉洞。そして斎場御嶽(せいふぁうたき)に立ち寄った。御嶽とは、沖縄の信仰の対象となる霊場で、その中でも斎場御嶽は最高位とされている。「丸1日かかりました」。念入りにお参りした。

 御利益がどれほどだったのかは不明だが、涌井のこの日の投球について伊東監督は「全体的にいまひとつ。力でもう少しねじ伏せられる。もっと直球を見たかった」と注文をつけた。栗原に対して見せたような投球が常にできれば、問題はない。守護神から先発完投型への転向過程。本気モードの延長が、涌井の課題になる。【竹内智信】