<オープン戦:中日0-2DeNA>◇1日◇ナゴヤドーム

 兼任実戦、問題なし!

 中日谷繁元信兼任監督(43)が先発マスクをかぶり、選手と監督の「兼任デビュー」を果たした。ナゴヤドームの初戦にスタメン登場。試合開始から選手谷繁としてマスクをかぶり山井と大野の無失点投球を導くと、6回からはベンチで監督谷繁に没頭した。「監督代行」森ヘッドコーチらのサポートもあり無難なスタートを切った。

 「兼任」の肩書を感じさせない、貫禄の今季初実戦だった。選手谷繁が満を持してナゴヤドームでマスクをかぶった。今季初登板の先発山井を慎重にリードすると、開幕投手候補の大野は146キロの直球を生かした大胆な攻めで3回を完全投球。開幕ローテーションを期待する2人をリードし、5回を2安打無失点で二塁も踏ませず。マスク越しの鋭い眼光は強烈だった。

 谷繁兼任監督

 思っていたような動きはできた。実戦を積んでいくとなじんでいく形だと思う。

 試合開始前からナゴヤドームはざわついていた。審判団をはさみ、DeNA中畑監督とのメンバー表交換に現れたのは、照れくさそうな森ヘッドコーチ。谷繁兼任監督はその横で防具を着け、先発山井とキャッチボールの真っ最中だった。メンバー表だけでなく、試合中の選手交代を球審に告げるのも森ヘッドだった。

 森ヘッドが「監督代行」を務めたように、兼任監督の試合出場にはならではの特別ルールがある。ヤクルトを古田兼任監督が率いたこともあり、セ・リーグは選手と監督では性質の違うマウンドに行く回数など細かな取り決めを06年1月の理事会で承認した。その“古田ルール”が、今回も適用される。谷繁兼任監督は春季キャンプ中から審判団と話し合い、シーズンに備えていた。

 谷繁兼任監督

 あんまり変わりないよ。こういう風になるのかなというのはあったから。

 立場が変わっても試合運びは問題なく、捕手として重荷にはならなかった。退いた6回からはベンチで監督に専念。以降の選手交代も今度は監督として球審に告げた。ベンチではコーチ陣がめまぐるしく立ち位置を変え、スムーズに采配を振るえるよう実戦テストを重ねていた。

 一生で1度?

 の兼任初戦は、打線がつながらずゼロ行進。8番打者谷繁も遊ゴロ、中飛の無安打と奮わず「完封負けはダメですね」と頭をかいた。兼任初勝利こそ逃したが、スムーズな動きに手応えがあった。【桝井聡】