<オープン戦:日本ハム10-4巨人>◇4日◇札幌ドーム

 「二刀流」2年目の日本ハム大谷翔平投手(19)が、“今季1号”を放った。巨人とのオープン戦(札幌ドーム)に「3番左翼」でスタメン出場。1回、巨人宮国から左中間へソロ本塁打を放った。野手としては初出場となったオープン戦で、第1打席初球での1発。4番中田も5回にソロ本塁打で続き、「平成のON砲」の初アベック弾を見せつけた。

 大谷が、迷わずフルスイングした。1回2死、初球だった。宮国の144キロ、甘く入った直球をたたき、軌跡は左中間まで到達した。飛距離125メートルの特大ソロ。練習試合などを含めた今季1号に「自分のタイミングで打てた。左中間にしっかりと」と声色を変えることなく、振り返った。

 すごみが随所にあふれた。守備に就いての野手での実戦は今季初。3回には左翼手としても躍動した。村田の左翼線を破る長打性の当たりを、クッションも含めて完璧に処理。ワンバウンド送球で二塁で刺す、今季初補殺。4回の第2打席は沈む変化球をファウルでカットしながら逃れ、内角球を二塁打。「まだ自分の打撃ができていない」とやや不満も、非凡だった。

 わが道を歩んだオフは、正直だった。2軍の千葉・鎌ケ谷にこもり、周囲の雑音をシャットアウトし単独行動。練習パートナーを決めず、地道で孤独な鍛錬の時を過ごした。切り替え、プライベートな時間も楽しむ先輩からは「野球ばかりやっていて、何が楽しいの」など冷やかされるほど。オフはなく、常に野球に「オン」だった。

 投手重視の育成方針を示された今季。自主トレ期間だけではなく、キャンプ中は、不足する野手メニューを補うことにも心血を注いだ。沖縄・名護ではチーム指定のメニュー消化後、余力があれば隣接する室内練習場へ行き、マシン相手の孤独な打ち込みで野手の一面も、研いできた。

 投手では1日の広島との練習試合で最速156キロをマーク。この日、野手でもはじけた。栗山監督は「まぁ、まぁ、まぁ…、普通」と抑えながら、笑みがこぼれっぱなしだ。今日5日の巨人戦も野手で出場の可能性がある。「使ってもらっている立場なので、また使ってもらえるようにしたい」。貫く謙虚さが手応えの実感だ。【高山通史】

 ▼大谷が左中間へ今オープン戦1号。昨年の本塁打はオープン戦1本、公式戦3本で、方向はオープン戦が右、公式戦が右→中→右。オープン戦、公式戦を通じて左方向への1発は初めてだ。二刀流1年目は3勝、3本塁打だったが、今年は両部門とも2ケタを記録できるか。過去に2ケタ勝利を挙げた投手の最多本塁打は、26勝した50年藤本(巨人)の7本で、「10勝+10本塁打」はまだいない。