<阪神2-1巨人>◇13日◇甲子園

 サヨナラの虎だ。阪神関本賢太郎内野手(35)が延長10回2死満塁、代打で巨人山口から左前にサヨナラ打を放った。昨季限りで引退した桧山進次郎氏(44=日刊スポーツ評論家)に代わる新代打の神様が、チームを5連勝、2位に浮上させた。甲子園でシーズン最初の巨人3連戦3連勝は、リーグ優勝した85年、03年と3度目。これって、ひょっとして吉兆かも…。

 サヨナラ男の真骨頂だった。勝負の土壇場で主役を張ったのは代打の切り札・関本だ。延長10回は2死満塁と攻める。打席に向かうベテランは心に決めていた。巨人のセットアッパー山口の初球から狙う。内寄り低め直球をミートするとゴロで三遊間を破った。サヨナラだ。5連勝だ。勝利に導いたヒーローは晴れの壇上で声を張り上げた。

 「最高です、ハイ!

 なかなか簡単に勝たせてくれない相手です。山口君からは、ここ何年もヒットを打っていない。必死のパッチで打席に入りました」

 山口とは過去2年間の8打席で無安打5三振。苦手な相手から11年以来3年ぶりの安打が自身6度目のサヨナラ打だ。チームとしても山口に失点させるのは3年ぶり。和田監督は「とっておきの、とっておきが決めてくれた。打った瞬間、三遊間の真ん中を抜けていくのがわかったので『終わったな』と」とホッとした表情を浮かべた。

 和田監督の“攻撃采配”が、甲子園での巨人戦同一カード3連勝を実現させた。好投の榎田を8回1死でスパッと代え相手に攻撃の糸口を与えなかった。「非常に投手の交代もスムーズだった。(榎田も)あそこまでいったら、どこで交代というのはベンチで決めていた」と振り返った。3連戦で失点はわずか2点。開幕から9試合で66失点と崩壊していた投手陣が立ち直った。

 さらに、9回には福留に代打新井貴を送り、延長10回には代打関本を起用。ベンチにあるカードをフルに使いながら、マシソン、山口という王者の看板リリーフ陣を攻め立てた。「去年は(西村を含む)あの3人を打てなかったんでね。開幕(カード)でマシソンを捉えて、きょうは山口から点を取ったというのは今後につながっていくと思う」と、にんまりだった。

 振り返れば就任以来、初めて甲子園での巨人3連戦3連勝。それでも先についてはこう言った。「まだ(対戦が)ひと回りしていないから」。明日からは敵地に乗り込み、首位広島との3連戦。昨季は終盤の失速で優勝を逃した。G倒に沸く甲子園で3年目の指揮官は冷静に先を見据えていた。

 ▼阪神が今季2度目のサヨナラ勝ちで9日DeNA戦から5連勝。甲子園球場の巨人3連戦で3連勝は、10年4月30日~5月2日以来。今回のように甲子園球場で行われたシーズン最初の巨人3連戦3連勝は、吉田監督で優勝した85年の4月16~18日、星野監督で優勝した03年の4月29日~5月1日に次いで3度目だ。

 ▼関本のサヨナラ安打は11年6月14日日本ハム戦以来6本目(他にサヨナラ死球が1度)となり、代打で記録したのは06年5月2日巨人戦に次いで2本目。巨人戦で代打サヨナラ安打を2本は07、11年堂上剛(中日)以来だが、阪神では川藤が78年9月5日に新浦から、82年7月30日に角から打って以来になる。