<広島3-1阪神>◇16日◇マツダスタジアム

 ポーカーフェースが一瞬ゆがんだ。阪神ドラフト6位の岩崎優投手(22)が、思わぬ落とし穴にはまった。1点差で迎えた5回だった。キラに右前打、広瀬に二塁打を浴びながら広島の走塁ミスにも助けられ、無失点のまま2死三塁までこぎつけた。8番石原を敬遠し、投手大瀬良との勝負を選んだ。

 カウント1-1からの3球目だった。打者大瀬良に甘く入ったシンカーを左翼線に運ばれた。2点適時二塁打。一塁走者まで生還を許した。あまりにも痛い2失点だった。中西投手コーチも「4番打者のつもりでやらないと」と辛口。結局6回5安打3失点でプロ初黒星を喫した。

 岩崎

 ベストボールを打たれたわけではないので悔しさはあります。要所で1本打たれたのは悔やまれます。変化球がよくなかったので、直球が多くなって苦しくなった。

 相手先発は広島のドラフト1位大瀬良だった。自身はドラフト最下位の6位で阪神入団。アマ時代の実績、知名度には雲泥の差がある。ただプロに入れば、そんなことは関係ない。それを表現するように序盤は「悪いなりにまとめられた」と、自己最速142キロを計測した直球を軸に持ち味を発揮。負けたものの、これまでよりもフォークを多投するなど進化も続けている。この日再び規定投球回に達し、防御率5位にランクインした左腕について、和田監督も「悪い感じはしなかったけど。試合は作っているので、悪い状態でもないし。やっていけるんじゃないかな」と信頼は揺るがない。

 プロ入り前は「中継ぎの方が向いているかな」と話していたが、「先発のおもしろさが分かってきたというか、自信がついた」と言う。“下克上”のチャンスは、これから先も訪れるはずだ。【池本泰尚】