<西武13-4ロッテ>◇17日◇西武ドーム

 若き主砲のバットがさく裂した。西武が浅村栄斗内野手(23)の2本塁打を含む4打数3安打6打点の活躍でロッテに打ち勝った。1回に3号満塁弾を左翼席にぶち込むと、1点差に迫られた5回にも4号ソロを左翼ポール際に運んだ。中村不在で開幕した今季、ここまで15試合はすべて「4番」に座り、チーム内の打撃部門は4冠。浅村に触発されるように、打線も13試合ぶりの2ケタ安打と爆発した。

 どこまでも頼もしかった。4連敗中の負の連鎖に苦しむ打線のど真ん中で浅村がほえた。1回無死満塁。フルカウントからだった。ロッテ先発藤岡の内角直球を完璧に捉えた。「チャンスだったから何とか走者をかえしたかった。どんな形でもいいから打ちたかった。狙ったわけではないけど、いい先制パンチになったと思います」。豪快なフルスイングでチームに大きな先制点をもたらした。

 打線の中軸を任されている以上、少々の痛みは関係なかった。3回、走塁の際に相手の送球が首の付け根を直撃。グラウンドにうずくまり、1度はベンチ裏に下がったが、再びグラウンドに出てきた。「一瞬、完全におちたんですが、すぐに意識が戻ったんで」と、何事もなかったかのようにプレーを続行した。

 1点差に迫られた5回の第3打席。傾きかけていたゲームの流れを引き戻した。先頭で打席に入ると、追い込まれてからの4球目。内角ボールゾーンのスライダーをすくい上げ、左翼ポール際へ4号ソロをぶち込んだ。「その前の2打席でも打てていたので気持ちに余裕を持って打席に入れた」と、本人も胸を張る価値ある追加点をもたらした。

 単独最下位に沈むチームの中で、存在感は際立つばかりだ。打率3割3分3厘、20安打、4本塁打、16打点でチームトップ。伊原監督が「もう、やっぱり去年も打っているわけですから、立ち位置としては浅村でいいんじゃないかなと思いますよ」と、中村復帰後も4番を任せる可能性も示唆するほど。浅村は「自分は打順にこだわりはない。4番は中村さんだと思う」と控えめながら、「2人で引っ張っていければ」と1日も早い共演を待ち望んだ。【為田聡史】