<楽天2-4日本ハム>◇20日◇コボスタ宮城

 フレッシュな風が、沈滞ムードを吹き飛ばした。日本ハムが、若手の躍動で楽天に勝ち連敗を3で止めた。石川慎吾外野手(20)と杉谷拳士内野手(23)が7回、スタメン抜てきに応える適時打を放ち試合を決めた。スタメン野手は、小谷野以外は20代がズラリ。若さあふれる陣容で負の連鎖をストップした。

 チャンスを得た若者は、目の色を変えていた。19歳の大谷がピンチを切り抜けた直後の7回。3年目の石川慎は闘志むき出しだった後輩に触発されていた。「本当に気持ちしかないと思って打席に入った」。1死三塁。初球に食らいついた。バットの先でとらえた打球は楽天辛島の頭上へ。左腕が差し出したグラブをはじいた。プロ初打点を挙げた前日に続く2試合連続適時打を中前へ運んだ。

 熱き魂の連鎖だった。プロ初のヒーローインタビューで石川は興奮気味に言った。「ちゃんと(バットに)当たっていなかったけど、気持ちが入っていたから」。見えない力さえ味方に付けてしまうフレッシュな勢い。6年目の杉谷にも、乗り移った。2死二、三塁から中前への2点適時打。「とにかく振るということを考えていた」。2ボールから最初のストライクを強振。今季初打点はチームにも大きな活力を与えた。

 スタメン野手には、小谷野をのぞき20代が8人並んだ。連敗中の重い空気を取り払う、栗山監督の大胆な仕掛けだった。「あえて若い右打者を使って、こういうゲームはうれしいよね」。左打ちのミランダを外して1番中堅に両打ちの杉谷、7番右翼で右打ちの石川慎を配置。4番中田をのぞく8人が安打を放ち、指揮官の思惑通りに暴れ回った。「あの子たちの点で勝てたのは、いいゲーム。自信につなげてほしい」。まぶしいくらいに若い力があふれた、大きな1勝だった。【木下大輔】