<日本ハム1-2ソフトバンク>◇22日◇東京ドーム

 ソフトバンク柳田悠岐外野手(25)が、ビッグプレーで流れを変えた。今季両リーグ初となる三重殺の起点となった。「うまくいきすぎてビックリ。肩は自信あるけど、去年にけがをして自信がなくなっていた。今日ので回復した。三塁ランナーの足が速いので思い切って投げた」。昨年6月25日、ダイビングキャッチして右肩を痛めた東京ドームで魅せた。

 3回無死一、三塁。日本ハム中田の正面のライナーに猛チャージ。地面スレスレでキャッチした。素早く体勢を立て直すと本塁へ70メートルノーバウンド送球。タッチアップを狙った三塁走者の西川を刺した。

 さらに捕手細川から二塁に転送され、一塁走者の大谷もアウト。先発スタンリッジを助ける三重殺が完成した。球団ではダイエー時代の99年5月5日オリックス戦以来15年ぶり4度目。当時の右翼手として起点となった秋山監督も「あのプレーでえらい違い。大きかった」と絶賛した。

 昨オフに合同自主トレをしたオリックス糸井をして「日本人で一番(打球を)飛ばす。バケモン」と言わしめた身体能力をあらためて証明した。遠投は120メートル以上。投手経験はないが広島経大2年の時に148キロをマークしたほどだ。

 そんな強肩は母親譲りだ。妹2人は地元広島で公務員。いとこは裁判官。「僕だけ違う感じ。プロ野球選手になれて良かった。たぶん母親の血ですね。親に感謝ッス」。母由美子さんは大学までハンドボール部で実業団から誘いがあったほど。柳田は小学校の時、父親が仕事で不在なら母とキャッチボールをしていた。

 バットでは5回1死三塁で、カーブを中前に同点打。「引っ掛けずにうまいこと打てた」。フルスイングが持ち味だが、試合前の王会長からの「ボールを運ぶイメージで」とのアドバイスも効いた。チームは首位キープ。3、4月の勝ち越しも決めた。攻守で沸かせた柳田劇場だった。【大池和幸】

 

 ▼ソフトバンク前回の三重殺

 ダイエー時代の99年5月5日オリックス5回戦(福岡ドーム)の3回無死一、二塁、谷の右飛を捕球した秋山(現監督)が二塁送球。遊撃井口から一塁小久保へ転送され、三重殺が完成。二塁走者の佐竹、一塁走者の三輪は、重盗のサインで飛び出していた。