日本ハム不動の守護神の武田久投手(35)が配置転換での出直しを決断したことが26日、分かった。インフルエンザB型に感染して8日に出場選手登録を抹消され、現在2軍で再調整中。29日西武戦(西武ドーム)からの1軍復帰が内定しているが、まずは抑えではなく中継ぎの一員という方向性を首脳陣と確認。その間に代役を務めた増井が5セーブと好調なこともあり、裸一貫で再出発する。

 覚悟を決めた。武田久が不退転の思いで、表舞台にカムバックすることになった。次カードの西武3連戦で1軍へ再昇格。22日からのソフトバンク2連戦戦(東京ドーム)で経過報告のため1軍を訪問し、栗山監督らと話し合いを行った。双方で納得した。武田久は一時的に、潔く身を引くことを決めた。まずは愛着ある守護神の座を「返上」して再出発する。2軍の鎌ケ谷で調整したこの日、胸の内を吐露した。

 武田久

 (2軍へ)落ちる前もそんなに(調子が)良くなくて(自分でも)抑えで戻れるとは思っていない。どの監督も、そうすると思う。こういう世界だから普通だと思う。

 今季は開幕から5試合に登板し1敗1セーブで防御率4・15。志半ばでインフルエンザに感染した。離脱後のクローザー増井-セットアッパーに左の宮西、右の剛腕クロッタの勝利の方程式が安定。自分自身の状態とブルペン事情を客観的に加味しての結論だった。

 輝かしい実績を1度リセットして勝負をかける。09年から昨季まで5年間は絶対的な抑えに君臨。過去3度のセーブ王もプライドを排除し、再起にかける。社会人で即戦力入団ながらも2軍から、自力で成り上がって築いた地位。セットアッパーとしてもプロ通算107ホールド、抑えでは同167セーブ。球界屈指のリリーバーとして一時代を築いてきた誇りがある。

 武田久

 ユニホームを着ている以上は全力を尽くすだけ。腐ろうと思えばいくらでも腐れる。ここ(2軍)にいても1軍にいても、どの立場でも自分らしくやらないと。プロ野球選手というより、人としても、そうはなりたくないから。

 プロ12年目。武田久が厳しい春を乗り越え、新たな真価を見せる。ハングリーなスタイルが、チーム復興のパワーになる。