<日本ハム4-1オリックス>◇2日◇札幌ドーム

 主役は譲らない。日本ハム中田翔内野手(25)が、2試合連続の7号ソロ本塁打を放った。オリックス戦の6回、3番西川遥輝内野手(22)の5号ソロに続き、左翼席へ運んだ。前日1日の西武戦に続く、3、4番コンビによる2試合連続&2者連続でのアベック弾。エース金子を攻略した若手主体の打線で、25歳の不動の4番も、負けじと存在感を見せた。

 4番の仕事だった。中田が試合を決定づけた。2点リードの6回1死。やや外角高めに浮いてきた136キロの変化球をすくい上げた。「振りきれているから、届いてくれたのかなと」。打球は詰まっていたが、左翼席に届いた。チームトップの7号ソロ。西川の5号ソロに続く2者連続弾は2試合連続。同一選手による達成はチーム12年ぶり。「何も考えていなかった」と邪念を払っていた若き主砲が勝負強さを発揮して、珍記録とともに今季2度目の3連勝を呼び込んだ。

 自らの持論をフレッシュな打線全体が実践した。捕手の近藤がプロ初の三塁でスタメン。一塁に佐藤賢、右翼に谷口ら若い左打者が並んでいた。「試合に出ていたら実績は関係ない」が中田の口癖。西川は「チームを引っぱっていきたい」と中田イズムが染みこむ。3回の先制機では中島、谷口が今季初適時打と躍動。大谷不在の打線で、3月28日の開幕戦に続いてオリックス金子を沈めた。

 中田は苦悩していた。前月17日のオリックス戦以降の10試合、打点を挙げられなかった。思うように4番の責務を果たせない日が続いていた。同30日西武戦の6回には無死三塁の絶好機で空振り三振。続く5番の大谷が適時打を放つなど、投打を兼務する後輩に頼りっぱなしの試合展開だった。直後にベンチ裏で自分への怒りをぶちまけた。物に当たるなど、誰も近寄れない鬼気迫る雰囲気だったという。守備中も打撃のことで頭がいっぱい。投手交代の際に外野手が中堅に集まる、チーム伝統のスタイルも忘れるほどだった。

 そんな若き主砲を周囲は、温かく見守ってきた。中堅の陽岱鋼は「翔も、いろいろ考えている」と、あえて指摘せず、心中をおもんぱかった。栗山監督もプレッシャーと闘う姿を目に焼き付けてきた。「ピーンとやったら爆発しそう」と何も助言はせず。自力ではい上がってくるまで待っていた指揮官は「やっと翔も前に踏み出した」と目を細めた。

 8カード連続で初戦黒星という負の連鎖も止めた。「チームも勢いづくと思う」。5月反攻へ、復調気配が漂ってきた4番が、のろしをあげた。【木下大輔】

 ▼日本ハムの3番西川、4番中田が2試合連続で2者連続本塁打。同一コンビの2戦連続2者連発は10年6月22、23日横浜戦の森野、和田(中日)以来4年ぶり。パ・リーグでは10年4月30日、5月1日ロッテ戦のオーティズ、小久保(ソフトバンク)以来。日本ハムでは02年9月4、5日西武戦の4番オバンドー、5番DTクローマー以来12年ぶり。