<日本ハム4-1オリックス>◇2日◇札幌ドーム

 誰よりも低姿勢で喜んだ。日本ハム上沢直之投手(20)は真っ先にチームメートへ感謝を述べた。「投げやすい環境にしてくれた野手の方に感謝したい」。7回5安打1失点。これまではセットポジションで好投を続けていたが大胆にモデルチェンジ。自発的にノーワインドアップに変更し奏功した。栗山監督は「ボールを押し込めていた」と評価。プロ最多120球の力投が実った。

 白星は譲れなかった。4月16日オリックス戦でプロ3勝目。中盤まで無安打無失点の完封ペースも2本塁打に泣いた。同25日ロッテ戦は中軸に打ち込まれプロ初黒星。「僕の中では何とか結果が欲しかった」。この日の相手先発は球界屈指のエース金子。ペーニャ、糸井ら強打者ぞろい。「あまり気にしないようにいった結果」と笑ったが、秘めた負けん気の強さがプラスに働いた。

 ルーキーイヤーの12年から向上心は有り余るほど抱えていた。高卒1年目の新人は体づくりの基礎メニューが中心。実戦での登板間隔が長く空くことも多かった。現査定担当の五十嵐信一氏(54)は当時の2軍監督。上沢は、こう強く訴えることもあったという。「もっと投げたいです」。普段は入団同期の松本らをイジって笑いを取るムードーメーカー。マウンドに立てば、しんの強さをのぞかせる。

 4勝目でチーム断トツ。今季1軍デビューした新星の輝きは日に日に増している。「僕はまだ、とにかく自分のことで精いっぱい。いつかチームを引っ張っていける存在になれたらいい」。初々しい笑顔は確実に頼もしくなってきた。【田中彩友美】