<ソフトバンク2-1日本ハム>◇6日◇ヤフオクドーム

 痛恨の暴投で逆転サヨナラ負け…。日本ハムは同点に追いつかれた9回、さらに1死二、三塁、抑えの増井浩俊投手(29)がソフトバンク松田から空振り三振を奪った決め球が暴投となり、今季2度目のサヨナラ負けを喫した。「振り逃げでサヨナラ」は20年ぶり史上2度目の珍事で、3カードぶりの負け越しが決まった。

 三振を狙い、三振を奪った。9回、同点に追いつかれ、なお1死二、三塁。日本ハムの新守護神・増井は、内角低めのフォークボールで松田を狙い通りに仕留めた。だがウイニングショットはワンバウンドし、大野のミットをはじいた。無情にも、バックネット方向に転がった。「サヨナラ暴投」。今季初の救援失敗に「勝ちたかったです。こういう日もある、切り替えてやるしかない」。連日の1点差負け。栗山監督も「オレが殴られたみたい」。重い足取りでバスに乗り込んだ。

 会心勝利は目前だった。5回無失点の浦野から、カーター、宮西、クロッタとつないだバトン。ミランダのソロで挙げた1点を、全員で守った。武田久の離脱後、最終回を任される増井。初めて味わう1対0という緊迫したマウンドも「特別意識はなかったです。いつも通り」に上がった。

 先頭の今宮を3球で打ち取り、1死。しかし内川に右前打を許すと、李大浩の打球は遊撃手・大引のグラブをかすめる内野安打となり、長谷川の同点打へとつながった。「長谷川のボールは甘かった。打たれたのは、仕方ないです」。形勢は180度変わった。悲劇の結末へ、導かれていった。

 4月3日、同じヤフオクドームのソフトバンク戦。1点リードの9回に、武田久が今宮にサヨナラ打を浴びた。当時、首位にいたチームは、その日から5連敗を喫した。栗山監督は「この前サヨナラ負けした後、チームは苦しんだ。そうならないように、しっかり明日、戦いたい」。順調に借金を減らしたゴールデンウイーク9連戦。最後の最後に、今後を占う勝負どころが待っていた。【本間翼】

 ▼ソフトバンク-日本ハム戦は9回1死二、三塁、投手増井の暴投で三塁走者の明石が生還、ソフトバンクがサヨナラ勝ち。打者松田はカウント1ボール2ストライクから空振り三振。記録は「三振と暴投」による振り逃げ。「振り逃げでサヨナラ」は94年6月12日オリックス-ロッテ戦のイチロー以来20年ぶりプロ野球2度目。前回は「三振と捕逸」のため「三振と暴投」では初。