<オリックス8-1日本ハム>◇10日◇ほっともっと神戸

 日本ハムが今季最少の2安打で完敗し、わずか1日で4位に再転落した。5連勝中と相性が良かったオリックスに投打ともに精彩を欠いた。8回無死一塁から代打・大谷がチーム初安打を放つまで、完全に沈黙。オリックスの先発ディクソンにノーヒットノーランを喫すムード満点の単調な攻撃の連続で、大記録と0封負けを阻止するのが精いっぱいだった。中田翔内野手(25)らが万全でない中で構成する打線の力不足を露呈し、危機感が高まってきた。

 春の穏やかな陽光が差す五月晴れが広がった神戸で、どんよりした。栗山英樹監督(53)はプラス材料を見いだせなかった。今季ワースト2安打では、打つ手なし。敗色が極めて濃厚な8回無死一塁。代打・大谷の右前打がチーム初安打だった。敵地で大記録の屈辱を受ける予感漂う中で、唯一の見せ場だった。「何とかしたかった。しょうがない…」。雄弁な指揮官が言葉に詰まった。敗因を詳細に分析する必要ない完敗だった。

 予知夢のような話題で、盛り上がっていた直後だった。試合前練習中。11年まで在籍したレンジャーズ・ダルビッシュの快投に、みんなが注目していた。レッドソックス戦で9回2死まで無安打投球。練習の合間にテレビに目をやり、各自が速報を確認するなどソワソワ。達成はできなかったが、栗山監督も「ダルはいつかやる。こっちとしても誇りだよね」とモチベーションに変えたが、逆に自軍がレ軍打線のようだった。

 最終的に圧倒されたが、奪えそうな流れを手放した。勝負どころの序盤の1、2回。ともに先頭打者が四球で出塁した。1回は1死一、二塁から中田、2回は無死一塁から近藤が併殺打で逸した。コンディション不良の中田がこの日もDH起用。余波で野手出場可能な大谷を先発から外し、迫力不足の打線は3回以後、ほぼ無抵抗だった。「負けは野手のせいや」。主砲は責任を受け入れた。

 深刻度は増してきた。規定打席到達5選手中、打率2割5分以上は、大引のみ。1番陽岱鋼のほか中軸の西川、中田、ミランダが不振と、個々として見ても厳しいスランプの現状だ。中田は怠慢プレーに見えかねないほど全力疾走ができない別メニュー調整状態と、予断を許さない。前半戦の正念場の予感が、静かに漂い始めた。【高山通史】