<オリックス0-7日本ハム>◇11日◇ほっともっと神戸

 日本ハムが誇るNO・1ハッスルボーイが、完勝への布石を打った。杉谷拳士内野手(23)がサプライズ弾で、お祭りモードを演出した。2回2死。弾丸ライナーで左翼席最前列へ突き刺した。今季1号の決勝、先制ソロ。2本塁打を放った12年以来、2年ぶりのプロ3本目の1発で、打線を目覚めさせた。試合後、栗山監督に「偶然、当たったんじゃないの?」とチクリと刺されたが、ハイテンションで応戦した。「狙っていました!」とハイトーンで返し、爆笑を誘った。

 今季8試合目の先発抜てきで、起爆剤になった。栗山監督が期待を寄せる秘蔵っ子。現役時代は同じ両打ち、小柄でプレースタイルも似ている杉谷は試合前、耳打ちされていた。「監督から『ここでやらないとお前はダメだ』と言われていた」。圧力に負けずに快音を響かせ、前日10日は2安打と沈黙の野手陣を奮起させた。続く3回には大引、西川が連続適時打で2点を重ねた。7回には不振の陽岱鋼と中田の両主力の2本の適時打で一挙4点で勝負あった。

 脇役が躍れば、主力も触発される。5回。3打席連続三振を喫した陽岱鋼が、三塁側ベンチで絶叫したという。栗山監督は興奮気味に回想した。「オレ、打ちたいんだ!

 叫んでたんだよ。チームのために暗くしてはいけないって、気持ち。うれしかった」。開幕から貧打が続いている中で、一体感が生まれてきた証しだ。杉谷がスパイスになった。試合前の円陣で、中田からコミカルに殴打される「爆笑パフォーマンス」がルーティンの1つ。父満さんは元日本王者のプロボクサー。最高の遺伝子を持つ杉谷の完全無欠の先制パンチが、効いた。【高山通史】