<日本ハム3-0西武>◇13日◇函館

 後輩のおちゃめな姿に、思わずほおがゆるんだ。日本ハム飯山裕志内野手(34)が「陰の立役者」になった。9回2死。西武米野の打球は大谷のグラブをはじき、三塁前に飛んだ。飯山は予知していたかのように素早く捕球。「投手のゴロは、いつもケアしていますから」。難なく一塁手へ送球し試合を締めた。大谷からは「ありがとうございます」と握手を求められた。ベテランは笑顔を浮かべ、黙ってうなずいた。

 ここぞの場面で追い風が吹く。2点リードの8回2死一塁。「打とうというところできてくれた」。直球を仕留めると、二塁まで手足を小刻みに動かし全力疾走。今季初打点の右前適時二塁打は貴重な追加点になった。栗山監督は「(飯山)裕志が打って、普段どういうふうに野球と向き合わないといけないかが分かった」と深く感心した。

 プロ17年目。主に守備固めで途中出場する機会が増えた。それでも「体は元気なんで」と黙々と練習に励んでいる。飛行機が苦手な鹿児島の両親は、いまだ本拠地札幌ドームへ応援に駆けつけたことはないという。「新幹線で行けるところまでしか見に来られないので」。15年度末には北海道新幹線が開通予定。まだ果たすべき仕事が残っている。【田中彩友美】