<日本ハム7-5中日>◇20日◇札幌ドーム

 真っ赤に光る血が成長の証しだった。日本ハム中田翔内野手(25)が激走で汚名返上した。5回2死一塁。快音を合図に一塁からスタートを切った。二塁、三塁。歯を食いしばりながら本塁を目指した。「この体なんでね。突っ込みにいくしかないと思った」。本塁に滑り込み3点目。ベンチに腰掛けズボンをまくると、左膝はすり切れ流血していた。

 自覚と責任がパワーを生んだ。交流戦前のリーグ戦最後の18日ロッテ戦。チームの士気を下げるボーンヘッドを連発した。2ー2の同点の場面では怠慢な走塁で好機をつぶした。守備では判断ミスからの「お見合い」で二塁打にしてしまい、勝機に水を差していた。

 悔いをバネに生まれ変わった。1回には先制の左犠飛で流れを呼び込んだ。「最低限の仕事が出来て良かった」。1安打を放ったが、本塁打からは9試合遠のいている。「正直ムシャクシャする気持ちはあるけどチームが勝っていることが救い」。数字には表れない仕事が中田が進化する糧になる。【田中彩友美】