<日本ハム0-5DeNA>◇23日◇札幌ドーム

 痛恨の衝撃音とともに、表情をゆがめた。高々と舞い上がった打球を、絶望のまなざしで見送った。日本ハム上沢直之投手(20)が3回2死無走者から崩れた。連打で一、二塁とされ、4番ブランコに140キロの内角直球が甘く入った。左翼スタンド上段へ運ばれた。「あの1球だけ。(厳しく)投げきれなかったですね」。両リーグ最多タイの9被本塁打目が致命傷となった。

 波に乗り損ねた。1、2回と1安打ずつ浴びながら無失点。直球で見逃し三振を奪うなど球威もあったが落とし穴が待っていた。前回15日西武戦での4回0/3を3失点KOに続く背信投球。初めて登板2試合続けて白星を逃し「2回連続はきつい」と視線を落とした。

 大事なカード初戦で役目を果たせなかった。各カード2連戦の交流戦では、大谷、メンドーサとともに先発3本柱として1戦目を任される予定だ。開幕から破竹の勢いで快投を続けたからこそ得た重要な任務も、相手主砲の特大アーチに沈んだ。厚沢投手コーチは「打ち気満々のホームランバッターに投げる球にしては警戒心が薄れていた。1球で野球は負けてしまう」と反省を求めた。期待するからこそ、苦言を呈した。

 今後も、落とせば連敗のリスクが高まる試合を託される。相手投手はこの日プロ初完封を許したDeNA井納のような好投手との対戦も続く。栗山監督は収穫の乏しい試合の中で、あえて前向きな言葉をつないだ。「考え方も含めて、勝つために、こういうものが学びになってくれれば、うれしいよね」。チームは今季3度目の完封負けで勝率5割に逆戻り。高い授業料を払ってもらった将来のエース候補は自分に言い聞かせた。「内(角)のボールを投げないと先には進めない」。失敗を糧に、ここからが真価の見せどころになる。【木下大輔】