<日本ハム1-4阪神>◇1日◇札幌ドーム

 無抵抗に近く、阪神に屈した。日本ハムの命綱は、懸命に挑んだ19歳だった。完敗で勝率5割に逆戻り。大谷の成否が生命線になった。1回1死三塁。絶好の先制機。右翼席を占拠した虎党が祈り、静まる。前夜のソロをかけた大谷に、要所が巡ってきた。手探りで向かったプロ初対戦の相手左腕は岩田。ツーシームで空振り三振を喫した。続く不振の中田は一ゴロ。栗山英樹監督(53)は「(大谷)翔平がああいう三振をしたのでノッていけなかったかもしれないね」と回想した。

 深刻さが、敗戦の弁から浮き彫りになった。二刀流の大谷が、打線の軸を担う存在。前夜は大谷、ミランダの2本塁打で劇的なサヨナラ勝ち。つながりを含め、集中打を欠くのが現状だ。4点以上のビハインドからの逆転白星は今季ゼロ。好調の波に乗りやすい、分岐点になりそうな1勝を手にできずにいる。先発上沢の序盤乱調の誤算もあるが、追う展開の典型的な敗戦パターンにはまった。4打数無安打の大谷がクローズアップされてしまう、収穫ない黒星だった。

 試合後。夕日を浴びながら熱血指揮官は、さわやかに語った。「オレが悪いんだよね。勝てないってことは…。オレの責任」。最後は自分自身に敗因を求めるほど、抑揚のないまま一戦を終えた。北海道の初夏、ベストシーズンを迎えた。まだ用兵に迷い、試行錯誤は続く。球場内の監督室に1度、携帯電話を置き忘れ帰路へ就こうとした。実りの秋を迎える戦闘スタイル導き出せる日は、少し先になる。「我慢だよね」。じっと待つ。【高山通史】