<日本ハム7-6ヤクルト>◇14日◇札幌ドーム

 日本ハムが小刻み継投で逃げ切り、連敗を脱出した。栗山英樹監督(53)は、2失点の先発中村を2回で降板させると、積極的な投手起用で抑えの増井まで計7投手を送り込んだ。3回以降はリードを許すことなく、1点差の競り合いをものにして連敗を2でストップ。貯金を再び3とした。

 表情は変わらない。だが心臓の鼓動は、激しく波打っていた。常に瀬戸際に立たされながら、1点の差を守り抜いた。試合後の会見、栗山監督の顔は、ようやく穏やかになった。「久々に最後の最後まで…。みんなが最後までよく頑張った。何とかしようという空気があった。それが欲しかった」。7人をつないだ執念の継投。勝負をかけた指揮官のシグナルが、選手に呼応した。

 同点に追いつき、さらに2死二塁の2回。わずか31球2失点の中村に、代打を送った。「試合は生き物。勝負するところは勝負する」。前日13日に石井を登録抹消していた。1人減った救援陣。それでも、迷いはなかった。信頼を寄せるリリーフたちを、惜しみなく使った。カーター、宮西、増井は失点したが、リードを許すことはなかった。

 長いシーズン、登板過多となれば、リリーフの負担が大きくなることは百も承知している。だが就任2年目だった昨季、ガムシャラだった一昨年とは違って、先を見据えた起用法が結果に結びつかなかった。継投が失敗する場合だってある。だが栗山監督は「動かないでやられた方が後悔する」と言う。「勝つために、やれることをやり切る」。信念を貫いた。

 苦しかった。疲弊した。それでも、勝った。「こういう流れでも、みんなが粘ってくれた。勝ちきるのが大事」。総力戦の代償は大きいが、白星が何よりの栄養剤になる。【本間翼】