<阪神4-3日本ハム>◇17日◇甲子園

 日本ハム自慢のリリーフ陣がまた崩れた。1点リードの9回に守護神増井が追いつかれ、その後は小刻みな投手リレーでしのいだが、12回に6番手カーターが2死無走者から連打を許して痛恨のサヨナラ負けを喫した。直近5試合で試合終盤に打たれ、敗れたのは3試合目。ここまでチームを支えてきた屋台骨に狂いが生じてきた。

 抜け殻になった。栗山英樹監督(53)の気力が果てた。勝者の権利がなくなった、最終の延長12回。2死から、どん底を見た。6番手カーターが鳥谷に四球。新井良に左前打でつながれ一、二塁とされた。マートンに中越えサヨナラ二塁打。完全に放電した指揮官は、ベンチで腕組みをしばらく解かず、たたずんだ。虎党で沸く聖地の夜空へと、視線をさまよわせた。「うん、そうだね。うん…」。言葉がつなげないほど、重みいっぱいの黒星。今季30敗目に、打ちひしがれた。

 最高のドラマを見届けるはずが、一変した。1点を追う9回。阪神の守護神・呉を砕いた。2死無走者から内野安打と四球で一、二塁。5回に同点打を放った西川が、右翼線を抜く2点二塁打で一気に逆転した。満を持してその裏、抑えの増井を投入。先頭打者のゴメスの二塁打を伏線に、同点とされた。「(勝てれば)非常に意味があると思っていたんだけれど」。栗山監督がシーズンの流れを占いそうな1勝を確信したが、手から離れていった。

 直近5戦で、わずか1勝。増井と宮西、この日のカーターと中継ぎ陣が責任投手となり計3敗が記録された。継投の乱れが明らかだ。栗山監督が「そこが自慢のチーム」と今季の強みと自負していたが、歯車が狂い始めた。援護が不可欠な打線も、藤浪に13個を献上して今季最多16三振。悲痛な叫びを吐き出した。「何とかしないといけないよね」。交流戦は勝率5割、貯金も1まで減った。不穏な1敗を一掃する大役を今日、大谷に託す。甲子園での今季最終決戦は、狙うペナントの分岐点になる気配が漂ってきた。【高山通史】