<阪神0-4日本ハム>◇18日◇甲子園

 懐かしい空気に、本能がうずいた。日本ハム中田翔内野手(25)が、甲子園で新たな歴史を刻んだ。名門・大阪桐蔭では1年から中軸を任され付いた異名は「怪物」。甲子園には3大会出場し通算4本塁打で世間を沸かせた。

 中田

 甲子園は、やってて楽しい。高校時代は、勝ち進んできたやつだけが立つ場所と思っていた。プロに入ってからイメージは変わった。今は特別なものがある。

 思い出たっぷりの景色。相手先発は高校の先輩、岩田。舞台は整った。

 目覚めた。2回。変化球をフルスイングした。7試合ぶりの右越え11号ソロ。プロ7年目で甲子園初アーチだ。プロ入り通算24打数5安打と苦しんだ球場で初本塁打。12球団本拠地制覇の記念すべき1発にも「ふ~」と大きく息を吐き、一言。「関係ない。また1つずつ積み重ねていければいい」と貫禄十分に誓った。

 2人の後輩が闘争心を、あおってくれた。前夜の阪神先発は高校の後輩、藤浪。「今回に限っては、後輩というより敵として見ている」。血の気たっぷりに臨んだが4打数無安打で完敗した。この日は5歳下ながら実力を認めている大谷を援護。「何とか先制点を取ってあげたい気持ちは強い」と親分肌を脱いだ。

 青春時代に最も輝いた舞台で、成長の足跡を残した。終わってみればチーム唯一の猛打賞の3安打2打点。8回には4点差をつける左前適時打を放ち、今季初めて逆方向の右へ1発も出た。

 中田

 今日はたまたま本塁打が出たけど、まだまだ納得していない。なぜかホッとしないし次のゲームが大事かな。

 次カードは出身地・広島での2連戦。聖地で暴れた「怪物」は、故郷をにぎわせる準備が出来た。【田中彩友美】

 ▼日本ハム中田が甲子園で初本塁打を放ち、12球団の本拠地制覇となった。通算91本塁打のうち、札幌ドーム37、ヤフオクドーム8、コボスタ宮城7、QVCマリン6、東京ドーム、横浜、マツダスタジアムが各4、京セラドーム大阪、西武ドームが各3、神宮、ナゴヤドーム、甲子園が各1で他球場12本。