<広島7-4日本ハム>◇22日◇マツダスタジアム

 日本ハムが痛恨の今季5度目のサヨナラ負けを喫した。延長10回2死一、二塁から新守護神の増井浩俊投手(29)が、広島ロサリオの3ランに沈んだ。一時は最大3点のビハインドを、中田の2点二塁打などで4回一挙4得点で逆転。中盤以降は継投策での我慢比べになったが、故障者続出の布陣で決め手を欠いた。7年連続勝ち越し中と得意の交流戦は残り2試合で借金1。勝率は5割と正念場に立たされた。

 涙に暮れたのだろう。真っ赤に充血した増井の両目に、1敗の重みが詰まっていた。延長10回2死一、二塁。ロサリオが白球を打ち上げると、目線を切った。左翼席へ飛び込む白球を見届けることなく、右手で帽子をちぎり取った。敗戦を確信した。真っ赤に染まった敵地、広島ファンが狂喜乱舞した。うなだれながら、マウンドからトボトボと歩み三塁側ベンチへと消えた。「疲れ?

 ないです」とだけ言い残し、バスへと乗り込んだ。

 酷な使命を2カード連続で実感した。甲子園での17日阪神戦。逆転して1点リードの直後の9回に登板も、追いつかれた。延長12回サヨナラ負けの伏線を作っていた。この日は同点の9回はしのいだが、続投した10回に力尽きた。栗山英樹監督(53)は「まあ、まあ見ての通り。増井も2イニング目だったから」とかばうほどタフな役割を、また果たせず。「何とかしたかった。監督が悪い」と新守護神を責めず、自分を追い込んだ。

 今季5度目のサヨナラ負け。広島相手の連敗で、今後の課題が見えた。外野手の守備の乱れ、11残塁と勝負どころで精彩を欠く打線。陽岱鋼と近藤ら主力が故障で不在の穴が、攻守に顕著になった。栗山監督が「早く(ベストメンバーが)整わないかな」と願いながら、やりくりも、厳しい状況が続く。昨季まで7年連続勝ち越し中の得意の交流戦。24日からのDeNA戦2試合を残し、勝率5割を切った。2勝しなければ、短いが1つの歴史に終止符を打つ。3回に2点二塁打で一時、一挙4点の逆転劇を演出した中田は危機的ムードに荒れた。「結果みたら分かるやろ」。勝率5割前後の一進一退、モヤモヤは晴れない。【高山通史】