<阪神2-2中日>◇27日◇甲子園

 阪神ランディ・メッセンジャー投手(32)は募るイライラを快速球で吹き飛ばした。6勝目とはならなかったが、失ったのは初回の1点のみ。判定へのイライラを150キロオーバーの直球に変えた。1-1の9回1死一、二塁は谷繁を見逃し、代打小笠原を空振り三振に斬った。「中盤以降いいところが出てきた」。わき上がるアドレナリンが腕をしならせ、今季最多の145球を投じた。

 「この腕を見てくれ!」。キャンプ中、打撃練習を終えると腕をまくって太い二の腕を見せつけた。熱心に取り組んでいたのが打撃練習だった。芯に当たれば楽々フェンスオーバー。今季も打率こそ1割を切るが「打撃は大好き」。15日西武戦ではフェンス直撃の今季初安打を放つなど、飛距離にも自信あり。打てば勝ちが近づくとなれば、感情は高ぶる一方だった。

 1点を追う5回の第2打席だった。2死一、二塁と勝ち越しの好機で見逃し三振に倒れた。内角高めの際どい球に納得がいかず、審判に声を上げた。球審の嶋田もマスクを取って反応。なだめるため、慌てて関川打撃コーチが飛び出すほどだった。だがフラストレーションはたまっても自滅することなく、自分を制御。9回6安打1失点と勝ちに匹敵する力投だった。

 「5回までしっくり来なくて、球が生きてなかった。それでもパカパカ打たれたわけじゃなかったから。ハードラックだったね。スリーピーだよ」

 負ければ借金生活に突入する重要な一戦。3年連続でリーグ戦再開の先発を任された。「柱として使ってもらえるなら身を削って頑張るよ」。扱いはエース級。何があっても簡単に崩れるわけにはいかなかった。メッセの熱投はチームの士気を高めた。後半戦も能見とともにメッセがチームを引っ張る。【池本泰尚】

 ▼メッセンジャーの145球は、13年9月17日広島戦150球、同5月23日ロッテ戦と同7月30日中日戦各146球に次ぎ来日4番目の投球数。今季チームでは、藤浪の6月17日の日本ハム戦での136球を超え、チーム最多の投球数となった。